東京オリンピックのジェンダー平等推進チーム・アドバイザーである元競泳選手の井本直歩子さんが、女性アスリートの報道について「『美しすぎる』など容姿や私生活の話題が多く、純粋に選手として報じられていない」と訴えた。
【映像】実際の見出し例→「開会式で『美しすぎる』と話題」「東京五輪 美女アスリートのSNS特集」など
井本さんは26日、国際オリンピック委員会(IOC)が開いた「表象ガイドライン」の会見に出席。日本では女性選手への偏見がみられる報道が多いとして「ステレオタイプを壊していきたい」と思いを語った。
見た目の美醜を重視して人を評価するルッキズム。東京オリンピックにおける“美人アスリート”報道に、ネットでは「ルッキズムしんどい」「スポーツの祭典なんだから、まずは競技を見ましょうよ」といった声のほか「美人を美人と言えない時代も虚しい」など、賛否の声が寄せられている。
『ABEMAヒルズ』に出演したニュース解説YouTuberで「The HEADLINE」編集長の石田健氏は「オリンピックなどの大きな注目が集まるスポーツイベントでは『どんな選手なんだろう』と誰でも気になってしまうもの」とした上で、ルッキズムが持つ問題に言及。「ルッキズムの話になると、よく道徳的な観点から『人の容姿に言及することはよくない』と言われるが、これを深堀りすると問題は大きく分けて4つある」と語る。
■石田健氏が挙げる「ルッキズム報道」4つの問題点
1:容姿に肯定的か否定的かどうかは、メディアや他人ではなく本人が判断するもの。
2:過去、本人が容姿によって何かしらの不利益を受けた経験があると、それを暴力的に思い出させてしまう。
3:特定の容姿を「美しい」と言うことで、美の画一的な基準が作られてしまう。また、その基準の生成に加担してしまう。
4:ある空間で特定の人の容姿を絶賛することで、空間内における“序列”ができてしまう。
石田氏は中でも「鼻が高い」「二重」「美白」といった表現の中には「白人至上主義や黒人差別につながるものもある」といい、また「良い化粧品を買える人と買えない人、整形手術ができる人とできない人、それぞれの経済格差にもつながっている」と指摘。
石田氏は「心の中で感じるのは自由」とした上で「仮に褒める文脈であったとしてもそれを公の場で本人に伝えるべきではないし、マスメディアも社会に発信するべきではない」とコメント。「ルッキズムには人種と経済の問題があることをメディアも自覚して、もっと慎重にならないといけない。個人の感情とメディアの主張は切り分けていくべきだ」と警鐘を鳴らした。
(『ABEMAヒルズ』より)
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