政府は先月30日、埼玉・千葉・神奈川・大阪の4府県に緊急事態宣言を発出することを決定した。期間はきょうから31日までで、22日までが期限の東京と沖縄についても合わせて延長する。
「安全・安心」を謳った東京オリンピックが開催されている中、新型コロナウイルスの新規感染者は各地で過去最多を更新している。専門家が独自に医療ひっ迫懸念へのメッセージを発信するなど、政府の危機感の乏しさも指摘されているが、テレビ朝日政治部の野中里紗記者は次のように話す。
「先月28日に閉会中審査が行われ、国会で尾身会長も危機感が必要だという発言をしていた。政府も危機感が足りないという指摘を再三受けていたので、ここ数日、危機感を持っているという発信をし始めた印象がある。今回、緊急事態宣言を拡大・延長することについて、政府関係者は『このまま感染者数が増え続けたら、病床が埋まってしまうというメッセージなんだ』と話していて、専門家の強い意見も踏まえて、病床ひっ迫が今後起こることがないようにしたいという姿勢に方向転換したと言える」
65歳以上の高齢者はワクチン接種が進んでいることから重症者は減っており、今の課題は40代50代の感染者数・重症者数の増加だという。
「政府関係者も『今重症化リスクの一手になっているのは40~50代だ』と話していて、特に今後1カ月、40~50代へのワクチン接種をいかに早く進めるかが課題になっていく」
東京では一日の感染者数のうち30代以下が7割を占めるなど、若者が感染拡大の中心にいるが、若者に緊張感を持たせるような施策を政府は考えているのか。インフルエンサーを使ってSNSなどで呼びかける方法などは考えているのだろうか。
「若者への呼びかけというのは非常にポイントとなってくると思うが、今のところ政府から具体的な広報戦略は聞こえていないのが現状だ。1年ほど前を振り返ってみると、同居しているおじいちゃんおばあちゃんを感染させないために若者が外出を控えるといった傾向があったが、今は逆に高齢者がワクチンを打ち終わっているので、そういった心配もなく若者が外出してしまう状況に変わっている。その中で、どうやって若者に外出を控えてもらうかというは課題だと思う」