WEB小説投稿サイト「小説家になろう」で連載されたWEB小説をベースに、ノベルスやコミカライズなどメディアミックス展開がなされている「転生したらスライムだった件(転スラ)」。2021年1月からはTVアニメ第2期第1部、4月からはスピンオフ作品「転スラ日記」、7月からは第2期第2部が9ヶ月連続で放送中だ。
サラリーマンの三上悟が事件に巻き込まれ、異世界に転生してスライムとなり、ユニークスキル「大賢者」と「捕食者」を頼りにさまざまな種族の仲間たちと出会っていくストーリーが描かれる。
本記事ではリムル役の岡咲美保に、演じる上で意識しているポイントや、代表作となった「転スラ」への想いを伺った。
「この3年間でリムルを演じていない期間がほとんどないんです」
――岡咲さんはリムルとは約3年の付き合いになりますが、9ヶ月連続「転スラ」シリーズ放送中の現在と初期の頃で、どのように印象が変わっていますか?
岡咲:リムルの役をいただけて本当にありがたいですし、この3年間で「転スラ」という作品とリムルに対して、いい意味で客観視できないくらい近くなったと感じます。オーディションを受けて役が決まったときはすごく緊張もしていましたし、原作もある作品なのでファンの皆さんに認めてもらえるように、多くの方のリムル像に寄り添えるお芝居をしようと思いました。
その気持ちは今も変わらないですけれど、いろいろな方が関わって大きくしていただけた作品であるという思いが大きくなって、自分の居場所みたいなものを感じられるようになったんです。
――このタイミングで第1期の第1話を改めて拝見しましたが、リムルのお芝居は最初からずっと軸がしっかりしているという印象を感じました。
岡咲:演じている側なので自分では初々しいなと感じますが、嬉しいです(笑)。リムル自身も異世界転生してきたばかりで動揺もしていたときですが、第2期にもなると彼を取り巻く環境も変わっていますし、私自身も変わっているので距離感が縮まったなと勝手に感じていますね。あと、すごいなと思うのが、この3年間でリムルを演じていない期間がほとんどないんですよ。
――2018年の第1期から2021年の第2期までの間にも、Audible(編注:オーディオブックのサービス)でノベルスの朗読をされていましたよね。リムルどころかほぼ全キャラを演じられていて。
岡咲:それだけでも収録時間は100時間を超えているんです。Audibleの存在もすごく大きいですし、「転スラ」はアプリゲームなどでもコラボで出演させていただくことが多くて。
――確かに、ゲームごとに転生されているようなものですね(笑)。
岡咲:リムル様はスライムの姿と人の姿があるので、良きようにお呼ばれしていただけて役得だなと思っています(笑)。TVアニメも9ヶ月連続での放送というのは、なかなかないですよね。
――3クール以上連続するものはありますが、間にスピンオフを挟んでの連続放送は珍しいですね。
岡咲:放送の前に収録をしているので、放送を見ている時間を合わせると9ヶ月どころではなくて。1年くらいずっと「転スラ」に関わっていますし、リムルと一緒にいられる時間をもらえているので、皆さんの中でもリムルの声が定着されていたら嬉しいなと思います。
「声優として活動していく上で、宝石のようなたくさんの言葉をもらっている」
――そもそもリムルというキャラクターはスライムなので無性という難しいキャラクターだと思います。演じる上でどのような点を軸にされているのでしょうか?
岡咲:オーディションを受けるに当たって作っていったリムルの声色は、この3年間ほとんど変わっていないんです。最初に作ったリムル独特の声のゾーンが自分ではあって、そこのゾーンは外れないようにしようと意識していますね。
最初に見たスライムの姿が衝撃的だったので、まず初めに人間界、というか普通の世界では聞き馴染みがないような声色をキャラクターデザインのインパクトに合わせて付けていって、その声色に元の人間らしい感情、人らしさを混ぜて表現していくというやり方で、声を作り上げました。発声の外枠をまず作って、そこにリムルとしてのお芝居を乗せていくというか。
その順番でやっていってお芝居としてはやりやすかったんですが、いざ人にリムルはどういうキャラクターなのか説明しようとすると、「彼は男性で元々37歳のサラリーマンで異世界転生して……」と、ひと言では言い表せないので、「リムルって複雑だなぁ」とは思いますね。
でもアフレコのとき、いざモニターにリムルの姿が映し出されて、台本を持ってマイクの前に立つと、私の中ではすごく自然に入り込めたキャラクターなんです。それは第1期第1話のときから変わらないですね。
――入り込めた理由は明確にあるのでしょうか?
岡咲:何でなんだろうと考えたことがあったんですけれど、(転生前の三上悟は)私とは性別も違いますし年上でいろいろな経験をしていて、第一印象として自分と距離があるキャラクターだったので、逆に客観視しやすかったんです。
スライムがこんな風にしゃべったら楽しいなと思いながら、姿かたちも自分とは違う分、自分の視点から見ていろいろなところに気づきやすい距離感のキャラクターだったんだと思います。
――第1期の前半でスライムの姿から、シズの姿を取り込んで人間の姿に擬態できるようになるというのがキーポイントでしたが、そこからの距離感の違いはどうでしょうか?
岡咲:実はオーディションはスライム姿のものと人間の姿のもので、別々の台本になっていて、それぞれで受けていたんです。人間の姿のときは、もっと少年マンガの主人公のような男の子の声を出していたんですが、結果的に見た目こそ変わるけれど同じリムルという存在であることは変わらないので、声色を変えるよりもお芝居で人間らしい表現をしていこうとスタッフさんたちともお話しする中で決まっていきました。
スライム姿のときは口の動きもない分、コミカルなお芝居が楽しかったりするのですが、人間の姿になることで手の動きなどもあるので、演じやすくなった印象はありましたね。戦うシーンでも、絶妙な心の揺れ具合や瞳の揺れ具合を想像しやすくなったので。
――確かにそうですね。さらに踏み込むと、仮面をつけているときとそうでないときもありますよね。
岡咲:仮面をつけているときは難しかったですね。リムルもシズさんの一件があって揺れ動いていた時期なので。本当にシーンごとにリムルはいろいろな顔を見せてくれるので、面白くて楽しい経験をさせていただいています。毎回アフレコ台本と映像をいただいて、家でチェックしている時は「がんばって仕上げるぞ!」ってギアを上げつつ、毎週考えていましたね。
――そのようにリムルに向き合うことのやりがいは、どんなところにあるのでしょうか?
岡咲:やりがいはすごくありますし、演じる上でわからないことがあっても周りの方に相談できる温かい現場なんです。敵とリムルが対峙したときに、リムルはとても強いので慌てないとは思っていても、演じていてどうしても戦いに意欲的になり過ぎてしまったことがあって。
どうしたらいいか相談してみたら、アクションで一挙手一投足に声を入れてしまうと弱そうに見えてしまうから、強いキャラは息を乱さないようするので声も出さないということがわかったんです。そういった声優業をやっていく上でも大事なことを、リムルを演じることではじめて体験させていただけるということがすごく多いんですよ。
――岡咲さん自身もリムルと同じように、ユニークスキルを獲得されているんですね。
岡咲:私もだいぶ持ってますね! (智慧之王役の)豊口(めぐみ)さんにもアドバイスをいただいているので、今後こういうシーンがあったらこうしようと思うときに豊口さんの声が響くんです。声優として活動していく上で宝石のようなたくさんの言葉をもらっているので、リムルを通じてやりがいどころではないものをいただいていますね。
TVアニメ「転生したらスライムだった件 第2期」概要
【CAST】
リムル:岡咲美保
智慧之王:豊口めぐみ
ヴェルドラ:前野智昭
ベニマル:古川 慎
シュナ:千本木彩花
シオン:M・A・O
ソウエイ:江口拓也
ハクロウ:大塚芳忠
ランガ:小林親弘
ゴブタ:泊 明日菜
リグルド:山本兼平
ガビル:福島 潤
ゲルド:山口太郎
ディアブロ:櫻井孝宏
ミリム:日高里菜
ラミリス:春野 杏
クレイマン:子安武人
ギィ:石田 彰
【STAFF】
原作:川上泰樹、伏瀬、みっつばー『転生したらスライムだった件』(講談社「月刊少年シリウス」連載)
監督:中山敦史
シリーズ構成:筆安一幸
キャラクターデザイン:江畑諒真
モンスターデザイン:岸田隆宏
美術監督:佐藤 歩
美術設定:藤瀬智康、佐藤正浩
色彩設計:斉藤麻記
撮影監督:佐藤 洋
グラフィックデザイナー:生原雄次
編集:神宮司由美
音響監督:明田川 仁
音楽:Elements Garden
アニメーション制作:エイトビット
【公式ポータルサイト】ten-sura.com
【Twitter】https://twitter.com/ten_sura_anime
(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会
取材・テキスト/miraitone.inc
アニメ「転スラ」3期放送回一覧(動画リンクつき)
話数 | サブタイトル(タップで動画へ) | 見どころ |
---|---|---|
48.5 | 閑話:ディアブロ日記 | リムルの特技:名づけ |
49 | 悪魔と策謀 | ヴェルドラのプリン没収 |
50 | 聖人の思惑 | ルミナスとヒナタの出会いが神々しい |
51 | 平和な日々 | 兄の恋愛フラグをチクるシュナ |
52 | それぞれの役割 | ゴブタは居残り |
53 | 両翼会議 | ヒナタの微笑みにドキッ |
54 | 迫り来る者達 | 初登場のゴブアが”美鬼” |
55 | 聖魔激突 | ヒナタ、猫舌だった |
56 | ボタンのかけ違い | リムルvsヒナタの一騎打ち |
57 | 七曜暗躍 | ディアブロが無双すぎる |
58 | 神と魔王 | ルミナスとヴェルドラの笑える絡み |
59 | 和解と協定 | キラキラお目々のヒナタが可愛い |
60 | 開催準備 | ももクロの新OPお披露目 |
61 | 各国と招待状 | ラミリスがチョロかわいい |
62 | 迷宮と暴風竜 | ヴェルドラ&ラミリスが可愛い |
63 | 謁見式 | 魔王ミリムがかわいすぎる |
64 | ベニマルの受難 | ベニマルをめぐり恋のバトル勃発 |
65 | 閃光の勇者 | ヴェルドラが屋台のおっさん化 |
65.5 | 閑話:ルミナスメモリーズ | 魔王ルミナスの視点から語られる |
66 | 千客万来 | ”ビジュ良すぎ”なリムルに注目 |
67 | 前夜祭 | ヒナタにギャップ萌え |
68 | 開国祭 | 色気ありすぎなシオン&シュナ |
69 | 武道大会 | 対戦相手を棄権させる勇者マサユキの“話術” |
70 | 勇者との決着 | ゴブタの変身した姿に衝撃 |
71 | 迷宮解放 | リムルが珍しく“ガチギレ” |
72 | 祭の後 | リムル“東の商人”を黙らせる |
・今すぐみられる「転生したらスライムだった件」エピソード・見逃し配信一覧