東京都で新型コロナの新規感染者数が急増している。要因は従来の変異株よりも感染力が圧倒的に強い“デルタ型”の流行だ。先月31日には、新規感染者数が4000人を超え、医療提供体制がひっ迫し始めている東京都。そんな中、複数の医療機関と提携し、緊急往診とオンライン診療を行っている“ファストドクター”に依頼が殺到している。
【映像】「入院が回ってこない…」自宅療養中のコロナ患者(往診の様子)
保健所の要請で患者を診察しに行く医師・上柳圭一さんに取材班が同行すると、今までにない危機的状況が目に飛び込んできた。
患者は娘から感染した40代の女性。なかなか入院先が見つからない患者の一人だ。
上柳さん「ほかに気になる症状はありますか?」
患者「息がやっぱり、トイレ行っただけでもちょっと苦しさが(ある)」
上柳さん「新型コロナになる前、持病などはなかったですか?」
患者「特にないです」
血中酸素濃度が低く、38度の熱も出ている女性。薬が処方され、自宅療養が続く。これほどの症状が出ているにもかかわらず、上柳さんによると「入院療養の調整にすら届いていない」という。
「本来であれば、入院調整に入らなければいけない患者さんですが、重症者が増えている中では軽症に分類されてしまう。(入院先の受け入れが)回ってこない」(医師の上柳圭一さん・以下同)
また、上柳さんがこの日診察した別の女性は、解熱剤を服用しても38.8度から熱が下がらず、酸素投与が必要な状態だった。
「医師が100人いたら100人が速やかに、一刻も早く入院、救急車という患者だ」
なんとか1時間後、受け入れ先の病院が見つかり、女性は深夜2時に搬送された。
上柳さんは「この1週間で搬送先の入院調整に難航するケースが爆発的に増えた」と話す。
「今まで経験したことがないくらいの時間がかかっています。搬送先が決まらなくて、23区内から多摩の病院に入院するケースもある。本当に通常では考えられないくらいの距離(が離れた病院)じゃないと見つからない」
上柳さんによると、自治体からファストドクターへの診察依頼件数は、1カ月前に比べておよそ10倍になったという。患者の多くは、ワクチンを打っていない50代以下だ。
「今までの新型コロナよりもさらに一段と強くなっている。一般の人が想像されている“重症”は、入院して酸素を吸っている程度と思うかもしれません。しかし、我々が意味する“重症”は生死の境。軽症・中等症でも入院しなければいけないのに、自宅で過ごしている患者さんが多くなっています。これはかなり危機的な状況です」(映像提供:ファストドクター/『ABEMAヒルズ』より)
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