滋賀県大津市で6歳の妹を死なせたとして4日夜、17歳の少年(無職)が傷害致死の疑いで逮捕された。
17歳の少年は、先月下旬から今月1日までの間に自宅で小学1年生の妹の腹や背中を足蹴りするなど、繰り返し暴行し、死なせたとみられている。少年の妹は1日、大津市内の公園で倒れているのが見つかり、病院で死亡が確認された。
当時、一緒にいた少年が「妹がジャングルジムから落ちた」と近所の人を通じて119番通報していた。少年は妹と母親の3人暮らしで、警察によると、妹には全身に100カ所にのぼる皮下出血があったという。警察は少年が暴行の発覚を免れるために、転落事故を装った可能性があるとみて調べている。
■ きょうだい間の暴力、虐待……背景に“ヤングケアラー”の問題も
ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演した明星大学心理学部准教授で臨床心理士の藤井靖氏は「日ごろ、子どもが抱える心の相談を受けるが、きょうだい間の暴力・虐待など、何かしらの不和はそれなりに多い問題の一つ」と話す。今回の事件については「まだ分からない事実が多い」と前置きした上で、一般論として“ヤングケアラー”の問題に言及する。
「本来、親がやるべき養育や家庭の仕事を子どもが“ヤングケアラー”として担っている。心理的な許容性などキャパシティの個人差はあるものの、子どもが抱えきれないものを抱えてしまって、その状況が続くと自覚なく負荷が蓄積し、本人が意図せずとも、きょうだい間でトラブルが起きたり、ストレスのはけ口になったりといった問題が起きてしまう。当事者同士の1対1の関係だけではなく、周りを取り巻く環境を含めて全体を見てケアしないと、なかなか本質的な解決につながらない」(藤井靖氏・以下同)
ヤングケアラーとは、学校などに通いながら両親や祖父母の介護、きょうだいの世話をしている18歳未満の子供のことだ。今年4月には、厚生労働省と文部科学省が立ち上げたプロジェクトチームがヤングケアラーの実態をまとめた調査結果を報告。公立中学・高校生の2年生、約1万2000人を調査した結果、ヤングケアラーは中学生で5.7%、高校生で4.1%の割合で存在した。
「犯罪につながる問題が起きた場合、裁判や刑罰を経て家族の“再統合”を目指すが、日本では家庭の中での相互作用を踏まえた心理的ケア、社会的サポートが圧倒的に不足している。個人の子育ての方法や価値観に、周りがどこまで踏み込むかといった問題もあるが、日本は踏み込まなさすぎだと感じる。家族カウンセリングなどの専門的支援のみならず、コミュニティや地域が一丸となって、もうちょっと踏み込んでいく方法や問題の予防策を考えたい」 (『ABEMAヒルズ』より)
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