「中等症の方が入院できない状況はもう“発生している”のが現状だ」 政府の“自宅療養”方針に訪問診療を行う医師
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 新型コロナウイルスの感染者について、2日に出された重傷者および重症リスクが高い人以外は原則自宅療養とする政府方針が、野党だけでなく与党も反発するなど波紋を呼んでいる。

【映像】自宅療養中に急変…元患者語る“在宅リスク”

 4日夕方、自民党は「党として受け入れられない」として、政府に撤回を申し入れる方針を固めた。会見で撤回への考えを問われた菅総理は、「撤回ということではなくて、しっかり説明するようにということだ。いずれにしろ、今回の措置というのは、必要な医療を受けられるようにするための措置である」と否定した。

 Twitterでは「入院と自宅の線はどこで引くんだろう」「ちゃんと隔離できるのかな。家庭内感染が拡がりそう」「急に悪化することを考えると怖い」といった不安の声があがっている。

 入院と自宅療養はどう分けるのか。自宅療養で体調が急変した場合はどう対応すればいいのか。医療現場の最前線にいる医師と考える。

「中等症の方が入院できない状況はもう“発生している”のが現状だ」 政府の“自宅療養”方針に訪問診療を行う医師

 厚生労働省から各自治体へ出された、「重症者や重症化リスクが高い人以外は、原則自宅療養とする」という要請(※5日に田村厚労大臣が「中等症は原則入院」と軌道修正)について、コロナ患者の訪問診療を行っているよしき往診クリニックの宮本雄気医師は、「非常に混乱を招く言葉だと思うし、現場レベルではこの発言でかなり混乱しているのは事実だ。医療に関わる人全員が、中等症の人を放置していいわけではないと考えている。中等症の人に何らかの医療の目が届く環境を早く作ることが急務だと思っている」と危機感を示す。

 宮本氏は実際に訪問診療を行う中で、「京都府の依頼を受けて、特にハイリスクな患者で入院ができない人に対して、連日の訪問診療を行っている。診察して、必要に応じて解熱薬の処方ということをもちろんするし、中等症2の患者でも入院できない状況もあるので、そういう時に酸素投与を行うこともしていた。これはもうゴールデンウィークの関西圏では当たり前のようにあったような状況だ。コロナウイルスではご飯を食べられない人も結構いて、そういう人に点滴をしたり。状態が非常に悪くなって、やはりこれは在宅では厳しい、危ない、ということになれば、行政と話し合って入院の調整を行うことまでしていた」という。

「中等症の方が入院できない状況はもう“発生している”のが現状だ」 政府の“自宅療養”方針に訪問診療を行う医師

 厚労省「治療の手引き」では、息切れや肺炎を発症している場合は中等症1、酸素投与が必要な場合は中等症2に分類される。病床が逼迫していない通常時であれば、どちらもすぐに入院した方がいいケースだ。しかし、「病床が逼迫してしまった場合は、重症の人から優先的にということになる。入院できないような状況は発生するのではなく、もう“している”のが現状だ」と宮本氏。

 自宅療養者に連絡をとって健康観察などを行う保健所の負担は大きく、すでにパンク状態だという。その中では、宮本氏らのように、街のクリニックに自宅診療をサポートしてもらうといった方法は考えられないのか。

 「少しずつ、地域のドクターたちも何かできることはないかというふうになっている。京都でも、最初は我々のクリニックから始めたプロジェクトだったが、今は京都の各地から“我々もやりたい。協力できないか”というお声をいただいて、今チームはどんどん大きくなっているような状況だ。2月から始めたプロジェクトだが、半年間でここまで大きくなったので、準備期間はあったんじゃないかと言われるとその通りではあるが、今からでもやっていかないといけない。もう遅いかもしれないけれど、今からでもやらないとまた同じことの繰り返しになるので、今からやっていく必要があると思っている」

「中等症の方が入院できない状況はもう“発生している”のが現状だ」 政府の“自宅療養”方針に訪問診療を行う医師

 では、病床を増やすことで対応はできるのだろうか。宮本氏は「増やすことはできると思うが、結果的には焼け石に水になってしまう可能性は十分にある」とし、「例えば、東京で1000床ベッドを増やそう。1000個作るのはとても大変だが、中国のようにプレハブで1000個ベッドを増やすと。今は1日4000人出ていて、10日で単純計算4万人。その20%が中等症になると考えると、8000床が必要。いきなり8000床を増やすというのは、現実的には難しいというのが本音だ。入院以外の選択肢、訪問診療もそうだし、大阪や沖縄では入院待機のため、体育館などを使って酸素をたくさん置くという入院待機ステーションを作ったりしている。あとは、ホテル療養の中で診療の質を上げたりだとか、そういういろんな選択肢。複数の選択肢でアプローチしていかないと間に合わないというふうに考えている」と危機感をつのらせた。

 今猛威を奮っているのが、感染力が強いと言われるデルタ株だが、自宅療養となった場合、家族など周りの人はどう気をつけたらいいのか。「デルタ株においても、基本的にはやることは同じ。部屋を必ず分けること、これを家庭内ゾーニングと我々は呼んでいる。そして、ケアする人を限定することが大事。ケアするのはハイリスクでない方で、例えば70歳の方がケアするのはやめたほうがいいだろうということになる。あとは、手を洗って必ずマスクを自宅でも着用する、換気を徹底すること。よく触れる部分を消毒すること。食器を使い捨てにすることなど、こういったところをしっかりやっていただく。当たり前なこと、基本的なところをきっちりやっていただくというところだ。東京都もわかりやすい資料を作っているので、ぜひ参考にしていただければと思う」と勧めた。

(『ABEMA Prime』より)

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