リモート推進派と思われがちなIT企業も、本音は出社がいい? テレワーク推進にはサラリーマンの税制の見直しも必要?
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 「何度も申し上げているが、お盆の機会を最大限生かして出勤者数の約7割削減、この時期にやらずにいつやるんだ」。12日に開かれた東京都のモニタリング会議で東京都の小池百合子知事が都民や企業に訴えかけたのが、人流抑制のための「テレワーク」「リモートワーク」の推進。

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リモート推進派と思われがちなIT企業も、本音は出社がいい? テレワーク推進にはサラリーマンの税制の見直しも必要?

 思い返せば安倍総理(当時)が昨年2月、「感染拡大防止の観点からもテレワークなどIT技術を活用しながら社会のあらゆる分野で遠隔対応を進め、未来を先取りする変革を一気に進める」と述べるなど、政府も呼びかけてきたテレワーク。

 ところが日本生産性本部が先月行った調査によれば、「週に3回以上テレワークをした」という人の割合は42.4%と、昨年5月の調査開始以来、最も低い割合となったことがわかった。実施率も7月時点で20.4%と、拡大どころか、縮小しているのが実情なのだ。実際、Twitter上には“テレワーク疲れ”を伺わせる声のほか、「正直テレワークでは回らない」「会社がPCの移動費削減でテレワークやめた」「そもそもテレワークの環境が整っていない」など、切実な声も。

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 パーソル総合研究所上席主任研究員の小林祐児氏は、日本でテレワークが普及しない背景について、「大きく3つの理由がある」と話す。

 「1つ目は、日本は誰がどの仕事をするかが曖昧だから。仕事の範囲が他の人と重なっていることで、“ここまでやったから、後はお願い”というような細かなニュアンスの調整がリモートだと難しくなり、生産性が落ちてしまったという方も多い。2つ目は、職種によってできる・できないが変わってくるから。例えば経営企画や人事の人はできても、工場のラインに入っている人はできない。一方で、日本企業は平等性や公平性を重んじるので、“あの部署ができないなら…”となってしまったり、“職務別に合わせていこう”みたいなビジョンを示さなかったりする。これは戦後、労働組合が企業別に創設されていったことも大きい。

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 そして3つ目が、結局は個人判断になるから。企業側は、“顧客に合わせて適宜対応してね”というようなことしか言わない。だから若い人が“上司はどっちでもいいと言っていたけど、出社しているから私も出た方がいいかな”という同調圧力が生まれる。この3つが絡み合っていると思う。やはり職場の中のコミュニケーションをどう担保するかに尽きる。“Zoomを使えるようになったよね”というレベルではなく、バーチャルオフィスとかバーチャルスペースみたいなツールもたくさんあるので、現場レベルの工夫が求められると思う」。

■「アメリカの場合、机や家具の購入費用を経費で落とせる」

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 そんな中、トヨタ自動車は今月1日から全国どこからでも在宅勤務ができる制度を導入。やむを得ず出社する場合も交通費は全額支給するなど、従業員の負担を軽減、より一層テレワークを進める考えだ。

 ライター・編集者の速水健朗氏は、「“リモートワークなので今週は電話に出られません”と言うと、“いやサボっているだけでしょ”と言われるような企業と、一部のIT企業は違う。一方で、IT企業だからといってリモートは得意だ、推奨したいというわけでもないはずだ。例えばアメリカのヤフーはコロナ禍の前にリモートワーク禁止と言っていたし、日本でもIT企業は都心の立地のいいところにオフィスを置くのでリモートをやりたくないという思いもあるはずだ。

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 サイバーエージェントの場合、オフィスのある駅から2駅の範囲に住むと家賃補助を出す“2駅ルール”というものがある。ビジネスのアイデアを生み出すためには距離が大切で、そのためには、やはり近くが良いという本音があるのだと思う。近くに仲の良い同僚が住んでいれば、夜に“ちょっとゲームやろうぜ”みたいな距離感になり、遊びも仕事になりやすい」とコメント。

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 東洋経済新報社・会社四季報センター長の山田俊浩氏は「通勤電車や会社ではクラスターは発生していないし、夜もどんちゃん騒ぎしなければいい、という感覚で、7割削減を真に受けていないのだろう。企業の尻に火がついていない、それがそもそもの感染拡大の原因なのでは?と思う」と指摘。

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 その上で、「確かに郊外に住む人が多いと、深夜残業になった際のタクシー代がかさむので、近くに住んでもらった方が経済合理性があるというケースもある。一方で、大企業を見ているとローテーションを組んで、確実に在宅勤務の人を出すということをやっているところもあるが、それでは仕事の効率が落ちるし、自宅では補助的な仕事しかできなくなってしまう。

 そもそも日本では都心からの通勤時間が1時間以内のエリアでは、お父さんの部屋は無く、書類をいっぱいに広げて仕事を連続してやるというのはなかなか難しい。日本の場合は給与所得で家にあるものは仕事に使わないという前提の税制になっているが、アメリカの場合はホームオフィスという考え方があり、机や家具の購入費用を経費で落とせる。日本でもそういうところを見直さなければ、なかなか進まないのではないか」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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