
東京オリンピックのボクシング女子フェザー級金メダリスト入江聖奈選手に対する『サンデーモーニング』(TBS系)での張本勲氏の問題発言、さらにその後の番組内での“謝罪”が批判を浴びている問題。19日付の『東京スポーツ』の紙面に掲載された独占インタビューで、入江選手本人が初めてこの件について言及。その内容が話題を呼んでいる。
まず目に飛び込んでくるのは、「入江聖奈、張本さんにあっぱれ!」との大きな見出し。入江選手はインタビューでも「私がおばあちゃんになって、孫がボクシングを始めたら『女の子なのに』って言っちゃうと思います」「いろんな意味でボクシングにスポットライトを当ててくれて『あっぱれ』です」などと述べ、張本氏に対する批判めいたことは一切口にしていないのだ。

同日の『ABEMA Prime』に出演したフリーアナウンサーの柴田阿弥は「私も記事を読んだが、世の中では“炎上”しているのに、誰よりも冷静で、懐が深いなと思った。頭のいい、人間力もすばらしい方だなと思った」とコメント。「確かに、あの謝罪の構成は良くなかったのではないか、など思うところもあるが、いつもだったら謝っていなかったと思うし、今回の件でジェンダーバイアスや競技に携わる人へのリスペクトの問題について一石を投じることもできたと思う。入江さんがこう言っている以上、外野が言うことはもうないのではないか。人の意見を変えることは難しいと思うが、これを教訓にして進んでいくしかないと思う」。

慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「張本さんは前からそういうコメントをすることがあったのに、なぜ番組に出続けているかといえば、圧倒的な実績があるからだ。そういう構造の問題は、今も日本の社会のあちこちにあると思う。組織委員会の森会長や金メダルを噛んだ河村市長についても、政治好きの人にはそういう人物であることは知られている一方、大物の政治家で実績がある。だからこそ周りが指摘しづらいという構造の問題を知っていたと思う」と指摘。
「大学の世界でも、学生に対して際どい発言をしてしまう年配の先生が、ものすごい実績を持っているとか、大学を支えてきたからといった理由から、“退場してくれない?”と簡単には言えない構造がある。あるいは発表会での学生に対するコメントなどでも、まさに“喝”ではないが、この先生だから厳しいことをズバッと言えるみたいになっていることもある。張本さんもそうだが、“ズバッと斬る”というシーンを楽しく消費する人も世の中にたくさんいるし、これは大御所に言ってもらおう、それがないと成り立たないと思っている人もいる。ただ、それらの発言が時代の感覚に合わなくないというケースが増えてきた」

張本氏の発言の直後、「僕たちにできることは下の世代に“あれって間違っているよね”と教えていくことだ」と語っていたEXITの兼近大樹は「入江選手のこのインタビューで、本人もちょっと救われてはいると思った。それでも、根本的な思考回路は変わらないのではないかと思うし、改めて、下の世代に“あれは違うと思うよ、どう思う?”と言っていくことが大事なのかな」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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