任期満了に伴う横浜市長選は立憲民主党が推薦、共産・社民が支援した元横浜市立大学教授の山中竹春氏(48)が、菅総理が支援していた前国家公安委員長の小此木八郎氏(56)や現職の林文子氏(75)らを破り当確となった。
現職・新人合わせて過去最多の8人が立候補した今回の市長選は、主にIR=統合型リゾートの誘致などが争点となっていた。
テレビ朝日社会部の藤原良太記者は告示前の状況について「投票率が49%と、2017年に比べて11ポイント以上も上昇、かなり注目された選挙だったことが伺える。“IR反対派”として閣僚経験者の小此木氏や知事経験者の田中康夫氏らが名乗りを上げ、トップの候補者の得票率が25%を切り再選挙となってしまう可能性すらあるのではないかと言われていた。
また、カジノ誘致に反対してきた“ハマのドン”こと横浜港ハーバーリゾート協会の藤木幸夫会長が誰を支持するのかが選挙前からの関心事で、田中氏の出馬表明の際にも“藤木会長はなんとおっしゃっていたのか”といった質問が集中したほどだった。
ところが蓋を開けてみると、藤木会長は山中氏の選挙戦初日の“第一声”の場や、最終日の“最後の訴え”にも駆けつけるなどして思いを語られていたし、開始一週間ほどで“山中優勢”の報道も出るようになった。さらに陣営では投票締め切りの午後8時には当確が出るのではないかということになり、準備が整えられていった」と話す。
政治経験のない山中氏だが、医科学系の研究者であったことがかえって奏功した部分もあるという。
「選挙初日にIR断固反対、即時撤回を訴えた、そのインパクトは大きかったと思う。しかし神奈川県でも新規感染者数が連日2000人を超え、ワクチン接種もなかなか進まない中、8人の候補者中、自分が唯一のコロナの専門家だと訴えていた影響があったかもしれない。IRが最大の争点と見られていたものの、小此木陣営もそれに対応する形で後半はコロナの話に切り替え、防災担当大臣を経験したことを訴えたり、神奈川県選出の河野太郎大臣や小泉進次郎大臣とYouTubeでコロナ対策の鼎談を行ったりするなどしたが、山中氏に大きく差を付けられた格好だ」。
市ではIR推進派だった林氏の元で2年前から準備を薦めていたが、計画への反対を主張してきた山中氏が当確となったことで、市にも衝撃が走っているようだ。
「この夏にも事業者が選ばれ、来春には整備計画が国に提出される予定だった。市の担当者は“反対派が当選するということは想定していない、私たちはやるという前提で進めている”と話していたが、選挙結果を受けて同じ担当者に話を聞いたところ“報道機関の情報しか無く、これからどうなるのかもわからない”というのが率直な気持ちのようだ」。
8月30日の市長就任に向け、山中氏の動向が市内外から注目を集めそうだ。(ABEMA NEWS)