「なんかモヤモヤするなと、このモヤモヤが大事だと思っています。何か心に刺さるようなことがありましたら、ぜひSNSなどで拡散していただければ幸いです。ごゆっくりお楽しみください」
東京パラリンピック開幕まであと2日となった今月22日、インターネット上での世界配信が始まったのは、東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラム「MAZEKOZEアイランドツアー」だ。16日、世界配信に先立って、都内で試写会が行われた。
女優の東ちづるが総指揮を務めるこの作品は、9つの島を飛行機でめぐるというストーリーになっている。それぞれの島では、性別、国籍、障がいなどあらゆる垣根を超え、パフォーマーやアーティストたちがパフォーマンスを披露する様子が描かれており、東京大会の理念でもある、一人ひとりが互いを認め合う「多様性と調和」を体現している。
「『多様性』『ダイバーシティー』、いろんな言葉が今、耳なじみはあると思うんですけど。じゃあ『それ何?』って言われると、なにか遠い、難しいというか、他人事。誰かがやってくれる、国がやってくれるとか行政がやってくれるというようなイメージがあるかもしれないんですけど。“混ぜこぜ”ということで、ぐっと身近になって、その中のメンバーの自分も1人なんだという風につながっていければいいなと思って。ひらがなで『まぜこぜ』、それをアルファベットにしました」(東)
約29年前から、生きづらさを抱える人たちを支援する活動を行ってきたという東。「29年間の活動の集大成」と位置づけ、今年3月から撮影が開始され、新型コロナなど様々な壁を乗り越えながら配信開始を迎えたという。
そんな作品の中で、東が最も印象に残っているシーン。パフォーマーたちが集まり、私たちに対して「共に生きよう!」と呼びかける場面だ。
「『人生はお祭りだ。共に生きよう』。これはみんなで言ってほしいと思ったんですね。共生社会とか共に生きようという言葉は、普段マジョリティー側が悪気なく、無自覚に上から目線で言ってる言葉だなと思ってるんです。当事者の皆さんもまぜこぜで、私たちが『共に生きよう』って、『いいよいいよ、ウェルカムだよ』と言っている人たちに、『共に生きよう』ってこっちから言う。これを撮りたいと思っていたので、その撮影の時は自分がぐっときたかな」(同)
この作品は9月末までの期間限定での配信が決まっている。東は、多様性と調和を感じるとともに、「どこかモヤモヤする気持ちになってもらえれば」と期待を寄せている。
「『多様性を目指そう』とか『共生社会を目指そう』という言葉がありますけど、それは目指すものではなくて、すでに私たちはそうなんですよね。すでに一緒に生きているんですよね、と。それを『そうだよな』っていうふうに気付きがあればいいなと。じゃあ、なんで街で会わないんだろう、学校にいないんだろう、職場にいないんだろう。『あれ?』というふうに考える扉が開けばいいなと、そういう対話ができるようになるといいなと思ってます」(同)
(『ABEMAヒルズ』より)
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