将棋の藤井聡太王位(棋聖、19)が8月24、25日に行われたお~いお茶杯王位戦七番勝負第5局で豊島将之竜王(叡王、31)に77手で勝利、シリーズ成績4勝1敗で、初の王位防衛を果たした。これで昨期、棋聖で最年少タイトルを獲得してから、タイトル戦では4連続で獲得に成功。対局後の会見では「自分の将棋の課題が多く見つかった」と、今後への課題を口にした。藤井王位は9月13日の叡王戦五番勝負第5局に勝利すると、史上初の「10代三冠」を達成する。
【中継】お~いお茶杯第62期王位戦七番勝負 第五局2日目 藤井聡太王位 対 豊島将之竜王
――豊島竜王とタイトル戦で初対戦でした。
豊島竜王とタイトル戦の番勝負で戦うのは、今回の王位戦が初めてだったんですが、王位戦の対局を振り返ると、序中盤でリードを奪われてしまうような展開が多くて、特に2日制の長い対局だと序中盤の差が大きく出てしまって、こちらにとって課題が多いシリーズだったと思います。
――戦型選択についてはいかがですか。
戦型的には相掛かりが3局、角換わりが2局という形でしたが、それぞれ違う展開になって、豊島竜王と長い持ち時間でいろいろな将棋を指せたことはとても勉強になりました。
――盤外で印象に残ったことはありますか。
今期の王位戦は第4局が予定されていた嬉野市の対局が、大雨の影響で変更になってしまって、コロナ禍もあって大変な状況の中で、対局の環境を整えていただいたことに感謝していますし、また第2局の北海道で初めて電車に乗ることもできて、自分としてはそういった面でも充実した番勝負になったのかなと思います。
――渭水苑は、第37期以来、王位戦の会場となっています。
渭水苑さんでは、毎年王位戦を開催していただいていますけど、自分は今回初めて伺って、とても落ち着いた雰囲気の対局室で、ご飯もとてもおいしくいただきました。
――ご飯やおやつで印象に残っているものは。
今回ですと、2日目に鉄火丼をいただいたんですけど、対局の時はこういった丼ものは食べやすいですし、とてもおいしくいただきました。
――徳島にも藤井王位ファンがたくさんいます。
本局、ご観戦いただきありがとうございました。今回、こうして徳島の地で防衛という結果を出せて、とてもうれしく思っています。また来年もあるんで、そこでもいい将棋をお見せできるように、精一杯精進していきたいと思います。
――7月の棋聖戦に続いての防衛になりました。渡辺名人、豊島竜王を挑戦者に迎えての防衛については。
棋聖戦、王位戦の防衛戦で結果を出すことができてホッとしたところもありますが、それ以上に、渡辺名人、豊島竜王という本当のトップのお二人に番勝負で対戦するという機会を得ることができて、その中で自分に足りないところが見つかったという部分があるので、それをまた活かしていければと思います。
――叡王戦、勝てば史上初の10代三冠です。
来月が最終局ということで、第4局が完敗という結果になってしまったので、第5局については悔いのない将棋を指せればと思っています。
――一番印象に残っている対局は。
今回の番勝負は、結構早い段階でこちらが気づいていない好手を指されてリードされる展開が多かったんですけど、特に第1局の2枚の桂を跳ねてくるという構想が、こちらが全く気づいていない。指されてみていい手順だったので、非常に印象に残っています。
――着付けの練習もしてました。
着付けに悲しては、番勝負が始まる少し前から練習を始めていて、今回の番勝負を通して、ある程度覚えられればと思っていたので、一応なんか着れるぐらいにはなったので、いい経験になった気がします。
――豊島竜王には出だしで6連敗、今年は7勝3敗。理由はなんでしょう。
内容的には苦戦が多いので、まだまだやっぱりこちらの方が足りないと思っているんですけど、今年1月の朝日杯で初めて勝つことができて、それがいいきっかけになって、この番勝負に臨むことができたのかなと思います。
――豊島竜王とは、奨励会初段のころに杉本八段の研究室で練習将棋をしました。
豊島竜王に将棋を教えていただいたこともあったので、こうやってタイトル戦の番勝負という舞台で対戦できるのはとてもうれしいですし、今後もこういう機会を多く持てるようにしたいなと思います。
――普段の研究でディープラーニング系のソフトを導入した効果は。
今回の王位戦は序盤で先行されてしまう展開が多かったので、ディープラーニング系のソフトの強みというのを自分に取り入れるというのには、なかなかまだ至っていない、難しいのかなと思っています。昨年末くらいに、ディープラーニング系のソフトがこれまでのソフトと並ぶくらい強くなっているという話をうかがったので、使ってみようかなと思いました。
――全国のファンにメッセージを。
今回の王位戦では、自分の将棋の課題が多く見つかったと思うので、それを今後に活かしていければと思います。ABEMAトーナメントや他の棋戦も中継されるかと思いますので、そちらもどうぞよろしくお願いします。
(ABEMA/将棋チャンネルより)