「感染によって影響を受ける人たちを意識した“行動制限”に」日本版の“ロックダウン”はどうあるべき?
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  緊急事態宣言の対象地域が拡大する中、従来の“お願い”ベースではなく、海外のような厳しい外出制限や行動制限「ロックダウン」を検討すべきとの声が再び高まっている。ただ、現行の法体系では私権制限につながるロックダウンの実施は難しく、菅総理大臣がは「海外からしても、ロックダウンしてもなかなか感染が収まらなかった。また感染が増え始めてきている」と、効果を疑問視する向きもある。

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 一方、政府の感染症対策分科会の尾身茂会長は5日、「(分科会で)ロックダウンみたいなことを法制化してくださいというようなことさえ議論してもらわなくちゃいけないということになる」、大阪府の吉村知事は20日、「ロックダウン的な行動が必要ではないかと、僕もそれは賛成だ」とコメント。ANNの世論調査でも「ロックダウンなど個人の行動を制限できるよう法律を見直す必要があるか」という問いに対し、67%の人が「必要がある」と回答している。

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 首都圏を中心に在宅医療を行うクリニックを展開している医療法人社団「悠翔会」理事長で、診療部長も務める佐々木淳医師は「おおまかな方向性としてはロックダウンに賛成だ」と話す。

 「感染症である以上、人と人との接触を減らせばコントロールできるというのは当然の帰結で、それは世界各国がロックダウンを試みてきたことからも明らかだ。もちろん国によってロックダウンの定義が違うし、変異株が出てきていることもあるので一緒することはできないが、厳格な行動制限を行うことで感染をある程度は封じ込められるというのは間違いないと思う。やはり日本人はなんとなく空気を読むというか、“みんなやってるから”みたいな感じで集団の意志が形成されるので、第1波、第2波の頃はみんな真面目に外に行かず、接触を7割減らすということも実践でき、ロックダウンがなくても数字がスッと下がった。しかし今度はそれが逆の方向に効いて“みんなやってないから、いいんじゃない?”となり、第3波、第4波と下がりにくくなり、第5波に入る頃にはと全く数字が下がらなくなってしまった。

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 当初は未知のウイルスだったので、どれくらいの感染力があるのかも明確ではなかった。しかしこうやって感染するんだ、このくらいの感染力なんだということが分かってきたので、それに最適化する形で社会を動かすようになってきた。そこにデルタ株という、今までとは感染力が全く違うものが出てきた。旧来型のコロナで作られた行動制限の基準ではなく、街中で広がっているコロナに対応した新しい基準での行動制限を考えていかないといけない時期に来ている」。

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 では“日本におけるロックダウン”とはどのようなものが想定されうるのだろうか。佐々木医師は「ロックダウンの目的は、決して人々を閉じ込めることではなく、感染拡大を防ぐことだ。日本はニュージーランドみたいな封じ込めを目指せるような状況ではないし、現実的にはウイルスと共存しながら、ある程度は経済活動もしていかないと生活が成り立たないと思う。医療技術も進化しているので、医療崩壊しないレベルが維持できていれば重症化しても助けてもらえる。平等にロックダウンしましょうというよりも、感染によって大きな影響を受ける人たちを中心に、差を付けた行動制限が必要なのではないか」と指摘する。

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 「例えば第1波、第2波の頃は重症化しやすい高齢者は家から出たらいけないとか、高齢者の家を訪問してはいけないというように社会から事実上の隔離をすることで感染から守ることができた。いま危ないのが20代~40代、あるいは50代の、まだワクチンの接種ができていない人たちだ。この人たちが重症化したり、後遺症が残ったりすることでの社会的インパクトも非常に大きい。そこでワクチンが間に合っていない人たちを中心になんらかの行動制限をかけていくのが合理的ではないかと思う。ただし、それはワクチンを打っていない人たちを閉じ込めるというよりは、むしろワクチンを打った人たちに自由を与えるというような形、つまり海外でいうところのワクチンパスポートのようなものだ。例えばワクチンを2回打っていればGoToキャンペーンのようなものに参加できるとなれば、早くワクチン打とうよというインセンティブにつながると思う」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

日本版ロックダウンとは?
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