「今も恐怖が…」痴漢やストーカーの標的に? 障がい者“乗車アナウンス”悪用の実態
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 障がいのある人が安全に電車を乗り降りできるよう、駅の乗車確認のアナウンス。車いすの人や視覚障がいのある人が電車を利用する際、駅構内で係員が情報を共有するために、現在多くの鉄道事業者で行われている。

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 しかし、障がいを持つ女性たちが今「乗車アナウンスの禁止」を訴えている。一体、なぜなのだろうか。当事者からは生々しい被害の報告が寄せられている。

「発車後に別の車両から来た会社員の男性に『(駅名)はよく知っているよ、送っていこうか?』と何回もしつこくされた。あの恐怖は今も忘れられない」

「ぴったり後方にくっついてきて、下着の色を聞かれたり、卑猥なことを繰り返された」

 今年6月、障がい者団体で構成される「DPI日本会議」が行った障がいをもつ女性への聞き取り調査によると、乗車アナウンスによって、障がいのある女性が電車に乗っていることや、降りる駅がどこなのかという情報が伝わり、それによって痴漢やストーカー被害が相次いで報告されている。

 こうした被害の声を受けてDPI日本会議では先月、駅でのアナウンスをやめ、他の方法で安全確認をすることなどを求める要望書を国土交通省に提出。

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 ニュース番組『ABEMAヒルズ』の取材にDPI日本会議の山崎涼子さん(※「崎」は正しくは山へんの下に奇)は、被害を受けた女性から日々悲痛な叫びが届くと明かす。

「係員さんから乗り換え駅や降りる駅もアナウンスされる。それによって車いす使用者の女性や視覚障がいのある女性が、どこに行くか分かってしまう。先回りして後をつけたり、卑猥なことを言ってきたり、そういった被害が寄せられています。被害に遭った女性たちは、公共交通機関を使わないで生活をすることが難しい。悔しい、怖い、そんな思いをしながら、電車に乗っている。鉄道会社に『アナウンスをしないでくれ』と訴えてきました」

 自身もストーカー被害を受けた過去を持つ山崎さん。以前から「アナウンスをやめてほしい」と要望してきたが、受け入れてもらえず、その度にジレンマを抱えてきた。

「ここまでたくさんの被害を公にしたことは初めてですが、今まで何も言っていなかったわけではありません。ですが、答えは『患者のために必要だから、アナウンスしないでくれというなら乗せられない。案内できない』という結果でした」

 国土交通省は、今回提出された要望書を受けて「地方では、アナウンス以外の方法で情報を伝達する事業者も存在する」といった事例も踏まえ、各事業者に対し、アナウンス以外の方法で共有を検討するよう求めていくとしている。

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 被害の声によって、ようやく改善に向けて動き始めた乗車アナウンス。山崎さんは「みんなが安心・安全に利用できるルール作りを共に作っていきたい」と話す。

「確かに『ドアに挟まれないように』『転落しないように』といった事項は、もちろん一番守らなければいけません。ですが、安全のためにやっているアナウンスで被害に遭っている人が実際にいるわけです。その時点で、すでに安全ではありません。もう一回、本当の安全は何なのか、障がいのある人もない人もどのようにすれば同じように安全に利用できるのか。それをもう一度一緒に考えて、新しいルールを作るときなのではないでしょうか」 (『ABEMAヒルズ』より)

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