菅総理大臣が自民党・二階幹事長の交代など人事刷新の検討をするなど、総裁選や衆議院選挙を前に政治の動きが慌ただしくなってきている。いま永田町で何が起きているのか。テレビ朝日政治部の土田沙織記者が伝える。
Q.このタイミングでの人事刷新の検討、背景には何があった?
総裁選に向けた動きが活発化する中、「菅総理では衆議院選挙を戦えないのではないか」との声は高まるばかりで、ここ数日、複数の議員が菅総理に対して、「局面を打開するには人事しかない」と進言していた。そういった声を受けて、菅総理も最終判断に踏み切ったとみられる。
また、歴代最長の5年あまりにわたって自民党の幹事長を務めた二階氏に対して、「長すぎる」という不満が党内からも出ていた。その二階氏を変えることによって、総裁選への出馬に向けて岸田氏が打ち出した、党役員の任期を連続3年までに制限を付けるべきとの主張の機先を制することになり、「岸田潰しではないか」との見方も出ている。
Q.30日の菅・二階会談ではどんな話し合いが行われていた?
菅総理の方から、人事刷新をしたいと話を切り出した。それに対して、二階氏は「遠慮せずに人事をやってくれ」と受け入れた。「総理の思う通りに思い切ってやったらいい」ということも総理には伝えている。また、二階氏は、幹事長としての任期が5年を超えた8月上旬ごろに、「ちょうどいい区切りだ」と周囲に漏らしていた。
Q.今回の人事刷新を二階氏周辺はどう受け止めている?
二階氏の周辺からは反発や動揺の声もあがっている。「いち早く菅総理の再選を支持した二階氏を手放して、今後誰が菅総理を守るのか」という声や、「菅総理誕生の流れをつくった二階氏の首を切るなんておかしい」と反発の声も出ている。
Q.人事刷新によって菅総理の思惑通りに進むのか?
菅総理周辺は、幹事長だけにとどまらず他の役員人事や内閣改造も行い、総理以外の顔をガラッと変えて、衆議院選挙の勝利につなげていきたい考え。ただ、若手議員からは「幹事長を引きずり降ろしたところで、これだけ支持率が低く、次の衆議院選挙では大敗するだろう」という声や、「人事なんて世の中と何も関係もないこと、もっと何が世の中の為になるのか考えた方がいい」という冷ややかな声も出ている。
Q.後任人事については?
菅総理はこれまで、派閥政治から脱却したいんだという考えを周囲にも語っているそうだが、どこまで派閥に気をつかった人事とするのか、あるいはそういったところから一線を画した人事ができるのかが注目される。実際、すでに菅総理が人事を匂わせるような電話かけたりしているようで、水面下では動きがある。まさに今、人事構想を練っている最中かと思われる。
(ABEMA NEWSより)