ネコの写真をクリックすると口が開き、その回数がカウントされる。ただそれだけのゲームが、世界で人気を博している。
しかし、そんな単純なゲームからアジアの情勢がわかる部分があるという。ANN上海支局の高橋大作支局長が解説する。
このブラウザゲーム『POPCAT』は、去年12月にイギリスの大学生が冗談で作って公開したとされるもの。ブラウザ画面をクリックするとネコの口が開き、カウント数が増えていくだけのゲームだが、SNSにそのスクリーンショットを投稿する人が世界中に現れたという。
「1タップすることを『ポップ』と数えるらしいが、『自分は何ポップしたぜ』と世界中の人が投稿している。さらに、画面下のリーダーボードという所をクリックすると、国や地域別のランキングが表示されるのがポイント。実は、オリンピックの時期に人気に火が付いたようだ。ランキング1位の国・地域には金メダルマークがつくが、SNSでお互いに励まし合いながら、『自分たちの地域を押し上げようぜ!』という動きが巻き起こった。なんと、全世界で5000億回以上クリックされていて、今も秒速3万回ほどクリックされている」
日本の順位は、高橋支局長が先月30日に確認した時は3位だったというが、現在は2位(約1071億)に上昇。1位は人口750万人程度の香港(約1206億)が頭一つ抜けており、3位は台湾(約1067億)、4位はタイ(約1031億)と続く(いずれも9月1日13時時点)。現地の報道によると、高速クリックが可能なプログラミングコードを配ったりして、自動でランキングを押し上げているのではないかという指摘もあるという。
なぜ、このゲームからアジアの情勢がわかるのか。それは、このランキング上位の国にある共通点だという。
「ランキング上位の香港と台湾、タイという国に共通点があって、『ミルクティー同盟』という言葉をご存知だろうか。実はこれらの国・地域は、どこも中央政府から民主化運動に圧力がかかって、それに反発するデモが起きたり、インターネット上で自由な言論を大事にしようという動きが起こった。“それぞれ共通点がある”“私たち民主化のために運動してるよね”というのを、ちょっとおしゃれに“私たちミルクティー大好きだよね。だからお互いに応援しようぜ”ということで、『ミルクティー同盟』という言葉が生まれた。このPOPCATのSNS投稿にも #ミルクティー同盟 というハッシュタグが8月後半からつきだして、POPCATで頑張ることによって、いわゆる“私たちは小さな国・地域だけど世界の一番上に躍り出られるんだ”と。どの国も、表立ったデモというのは圧力だったりコロナでできない状態だが、それをインターネット上ではある種“忘れてないよ”という雰囲気も兼ねて行われている」
なお、最下位は「北朝鮮」で、クリック数は1。高橋支局長は「これは動かない。もしかしたら制作者のネタなのかもしれないが、考えさせられる1つのメッセージでは」とした。
(ABEMA NEWSより)