中国テンセント社が運営、利用者は中国人を中心に世界12億人に達するアプリ「WeChat」のユーザーの元に、利用規約変更に関するお知らせが届いた。

・【映像】アカウント情報の“再利用”が可能に? WeChat規約変更の意味と米中テック競争

 そこでは「お客様がWeChatで使用するアカウント名、ユーザーID、およびその他の識別情報は当社の所有物です。お客様または当社が何らかの理由でアカウントを終了または無効にした後、当社はこれらのアカウントを凍結、撤回、および再利用できます」と説明されているが、チャット機能のみならず飲食店での注文、決済、納税や診療など、生活を支える“スーパーアプリ”であることから、今回の改訂を懸念する声もある。

 戦略科学者の中川コージ氏は「データの保管という目的の下、ある意味では全てを接収するということでさえやってしまうような国だから、なんでも邪推はできるし、危険かと言われれば危険だもと思う。ただ、なぜこのタイミングかというところも重要だ。中国では2017年にサイバーセキュリティ法が施行され、ちょうど今月1日に、その“各論”ともいえるデータ安全法が施行されている。今回の規約改訂は、その直前に出されているので、そこに沿ったということだと思う」との見方を示す。

 「テンセント社も中国企業だし、“チャイナリスク”を抱えているという点では、お上が新しい法を施行すれば、それに準拠しなければどうなるのか分からないという動機があると思う。習近平政権がイレギュラーに第3期を目指す上では、大衆の人気も集めなければいけない。儲けている大企業にはきちんとやらせようということで、テンセントも1兆7000億円くらい投資性の寄付をさせられている。

 ある程度は自由にさせておくけれど、法律は用意しておいて、国家安全のためにやる気になれば踏み込むこともできるし、怪しい奴がいれば、要は腐敗とか汚職に関しての官僚のお金をトレースするよということまでできるという、伝家の宝刀システムというのはよくやるチャイナの手口ではあると思う。国とテンセントのシステムが完全に繋がっているということはないし、“伝家の宝刀”を抜いてしまえば、民間のイノベーションが促進されないことも中国共産党は理解している」。

 WeChatをめぐってはアメリカのトランプ政権が利用者の情報が中国政府に悪用される可能性を指摘、TikTokなどとともに提供禁止に乗り出したこともあったが、中国側はこれに猛反発。去年8月、中国外務省の報道官は「アメリカが安全保障を口実に、国家権力を乱用して企業を理不尽に弾圧するのは、あからさまな覇権主義で、中国は断固反対する」と主張したこともあった。今年に入りバイデン大統領は提供禁止を撤回する一方、情報保護のためアプリの精査など処置を講じるとしている。中国政府もIT企業への規制急速に強めていて、7月に配車アプリ大手のDiDIについて「個人情報の収集と使用に重大な違反が存在する」としてアプリのダウンロードを停止にすると明らかにした。

 「データ安全保障が国際的なトレンドになってきていて、アメリカ側が先に規制をしようという形になった。米中対立がデータ安全保障の領域でも深まると、ソフトウェアへの影響も出てくるということで、中国だけが悪徳倫理というところで考えるのではなく、相互性があるものだということは考えておいた方がいいと思う」。

アカウント情報の“再利用”が可能に? WeChat規約変更の意味と米中テック競争
ABEMA
ファンの行動が社会問題化も 中国の“推し活”規制は「メリット・デメリット以前にちょっとやりすぎだ」
ABEMA
「中国の小京都」が1週間で休業…オープン当初の賑わいから一転、反日感情の高まりに困惑の声も
ABEMA