シリアでヌスラ戦線に身柄を拘束されたジャーナリスト・安田純平さんとされる人物が「助けてください これが最後のチャンスです」という手書きメッセージをもつ写真が公開された。日本政府に莫大な身代金を要求している今回の件、あるシリア人の活動家は「写真公開から1ヶ月経てばイスラム国に身柄を引き渡される」としている。
![安田純平さんシリア拘束、リミットは1ヶ月か。専門家が現状語る](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/d/2/724w/img_d21aabbeabec6e78166becb3a56899ac806792.png)
日本政府としては交渉を進めているのかどうかということも不明となっている今回のニュース。5月31日のAbemaTV「AbemaPrime」ではこの件を取り上げ、MCのケンドーコバヤシ、番組キャスターの小松靖アナ(テレビ朝日)を中心に、作家・タレントの竹田恒泰氏、元NMB48の山田菜々のほか、ジャーナリストの高世仁氏らが現状について議論を交わした。
■文字は「書かされたもの」?
安田さんの身柄が拘束される直前まで連絡を取り合っていたという高世氏は、
「今回の映像で気になったのは髪の毛・髭の伸び具合。待遇がよくないんじゃないでしょうか。またものすごい形相で顔を睨みつけてたが、『助けて』っていう人ではない。これはおそらく書かされたもの。(この表情は)彼の最大限の抵抗じゃないかなと思う」
と安田さんの身を案ずる。
また、ヌスラ戦線について「表向きは人質を取らないことになっている」と、同志社大学大学院グローバルスターディーズ研究科の内藤正典教授は解説。
「ヌスラ戦線は何も言わず、代理人が言っているだけ。日本で騒ぎになればなるほど身代金の値段を釣り上げてしまう」
と語り、さらに
「推測でしかないが、ヌスラとして安田さんをどうするかと決めて動いているのではなく、アサド政権と戦うことがヌスラの最大の目的なので、ヌスラの下の人間が勝手にやっていることなのではないか」
と続け、今回の事件のあり方自体を疑問視した。
静岡県立大学グローバル地域センターの小川和久教授も「赤いシャツを着せられてるのに作為を感じる。あえてISが処刑する時の衣装を着せて切迫感を出しているのでは」と、事件を“煽る”ような動きを感じると話した。
![安田純平さんシリア拘束、リミットは1ヶ月か。専門家が現状語る](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/f/7/724w/img_f7a5caba187702e5d428ad4878472981382129.png)
■交渉が進んでいない? 現地邦人が実際に見たものとは
番組では、現地に精通する人物2名と中継を繋いだ。テレビ朝日カイロ支局長の荒木基氏は、
「ヌスラ戦線の目的が金なのか金以外なのかはともかく、交渉自体が進んでいないように見てとれる。ムスラ戦線にとっても安田さんのケースは非常に特殊。今までのケースでは相手方から交渉する人が出てきたのに、今回はどこにいっても交渉にならない。写真公開は先方のひとつの焦りのあらわれなのでは」
と分析。さらに現在リトアニアにいるジャーナリスト・常岡浩介氏とも中継で状況を聞いた。
「(当初は)わたしも含め安田くんの直接の友人たちと救出作戦を勧めていてうまくいっていた。途中から妨害するような動きがあり、身代金ナシで開放してもらう話だったのがつぶされている」
と楽観的だった状況が現在一変していることを明かした。
現在は交渉のイニシアチブを取り戻すということを試み続けている常岡氏は、「日本政府ができることは限られている。国対国の依頼をするのは国しかできないのでそちらに尽力してほしい」と語った。
安田さんと同時期に拘束されていたとされるスペイン人ジャーナリスト3名は、トルコやカタール政府の協力を得て救出された。日本政府にそのような交渉ができるのか、緊張が高まっている。
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