『サッカー・EURO 2016™ フランス大会』開幕を直前に、イングランド戦、エストニア戦と2つの国際親善試合で、大会前の最終調整を行ったポルトガル代表。4大会連続でレギュラーメンバーとしてポルトガル代表を牽引して来たクリスティアーノ・ロナウドが今大会でもチームの主役であることは間違いないが、A代表でも存在感をみせ始めたU-23の若き代表たち通称「新黄金世代」にとってはロシアW杯に向けての第一歩を踏み出す極めて重要な国際大会になりそうだ。
写真:AP/アフロ
今大会のポルトガル代表、フェルナンド・サントス監督は、クリスティアーノ・ロナウド、リカルド・クアレスマ、エリゼウ、ペペ、ブルーノ・アウベス、リカルド・カルバリョら30代のベテランを中心に据えつつも、23歳以下の若手のアンダー世代の融合を予選を通して試みた。
このところ耳にすることが多くなった「リオ世代」とも言われるU-23「ポルトガル新黄金世代」。ポルトガルサッカーはかつて世界を席巻したルイス・フィーゴ、マヌエル・ルイ・コスタらを有した世代以来ともいえる活況を呈し、今やポルトガルの若手は世界屈指の「才能の宝庫」と言っても過言ではない。
『サッカー・EURO 2016™ フランス大会』終了後にオリンピックが控えていることも考慮し今回代表に選ばれたのは、レナト・サンチェス(バイエルン・ミュンヘン)、ジョアン・マリオ(スポルディング)、アンドレ・ゴメス(バレンシア)、ラファエウ・ゲレイロ(ロリアン)、ラファ・シウバ(ブラガ)だが、テストマッチのイングランド戦とエストニア戦では5人を起用。彼ら若手を本大会でも積極的に使う意志が感じられた。
やはり大注目は18歳のレナト・サンチェス。ベンフィカで才能を開花させ、バイエルン・ミュンヘンが10代としては前代未聞の3500万ユーロ(約42.6億円)で獲得を発表し「新怪物」との呼び声も高いが、2つの親善試合でも後半に登場し、強いフィジカルとダイナミックな突破力でインパクトを遺した。
バレンシアで大ブレイクしたテクニシャン、アンドレ・ゴメスもこの世代を担う特別な選手だ。すでに来シーズンに向けて、ユベントス、マンチェスターユナイテッド、アトレチコ・マドリードなどが手を挙げているが、ドリブル突破など局面を打開する技術の高さに加え、広い視野を持ったパスワーク、前線での動き出しなどEUROでレギュラーとして起用される公算が高い。
ジョアン・マリオも注目するべき選手の一人。ポジション的には前述のサンチェス、ゴメスかぶる右サイドの攻撃的MFという印象だが、スポルティングでの中盤全域をカバーでき、豊富な運動量とパスセンスと、短期決戦体力勝負となる『サッカー・EURO 2016™ フランス大会』で大ブレイクの可能性は十分にあるだろう。
今回大腿部の負傷の為に選考から外れた大本命のベルナルド・シウバ、当確線上と言われていたゴンサロ・グエデス、リカルド・ペレイラ、ルベン・ネベスという現在ビッククラブがこぞって獲得を狙っている次世代のスター候補も含め、この夏のリオ・オリンピックまで「ポルトガル新黄金世代」は目が離せない存在になりそうだ。
写真:アフロ
今年31歳になったクリスティアーノ・ロナウド。未だ衰え知らずのサッカー史に残る英雄の最終章は確実に始まっている。「新黄金世代」がロナウドにとって替わるのか?はたまた、新旧の才能が融合しポルトガル・サッカー史に残る「最強チーム」が生まれるか?どちらに転んでも面白い展開が待ち受けているのは確かだ。