絶好調の上田はゴールを決められるか

2022年のJ1リーグは横浜F・マリノスのリーグ優勝で幕を閉じた。最後まで川崎フロンターレとデッドヒートを繰り広げ、見事リーグタイトルを勝ち取った。

個人タイトルでいえば清水エスパルスのチアゴ・サンタナが14ゴールで得点王に輝いた。チームは残念ながら降格してしまったが、前線で孤軍奮闘の活躍を見せ、タイトルを獲得している。

そんな得点ランキングで見るべきは10ゴール、総合8位で終わった上田綺世の数字だ。上田は夏の移籍市場でベルギーのサークル・ブルージュに移籍しており、鹿島アントラーズでリーグ戦を戦ったのは18試合しかない。それでも10ゴールと二桁に乗せており、ベルギーに旅立っていった。もし上田が鹿島で2022年シーズンを走り抜いていればサンタナをも超える記録を残していたはずだ。

上田のベルギー移籍は順調なものとなっている。移籍当初はストライカーではなくトップ下で起用されるなど新チームへの適応に苦しんだが、気が付けば上田はリーグ戦で17試合に出場して7ゴールとチーム得点王の活躍を披露している。ベルギーリーグ全体でも6番目の好成績であり、このまま勢いを継続すれば移籍初年度でベルギー得点王の可能性は十分にある(現時点で1位は12ゴールのポール・オヌアチュ)。

日本のサッカーを少しでも知っている人であれば上田の存在を認知しているが、世界で見ると当たり前な話だが、上田は無名な選手だ。英『The Athletic』や米『ESPN』といった海外メディアはW杯を前に日本代表に触れているが、その中で名前が出ているのは鎌田大地や南野拓実、冨安健洋らが一般的だ。今季ベルギーで7ゴールを挙げている上田の名前は注目選手として出てこない。

絶好調の上田がこのタイミングで日本代表に合流するのは大きなアドバンテージとなる。他のセンターフォワードの前田大然や浅野拓磨は今季得点を奪うことに苦労しており、追加招集の町野修斗は外国人DFと対峙した経験値が浅い。得点が欲しい、とくに2戦目のコスタリカ戦は上田の得点力が重要になるといえる。

後方には冨安が、中盤には遠藤航が、サイドには三笘薫、久保建英と世界にも通用する人材がいる日本だが、CFはまだ見つかっていない。上田は彼らと肩を並べられる逸材であり、秘密兵器として活躍するストライカーに期待したい。