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 東京女子プロレスのリングで、また1人ルーキーがデビューを果たす。恒例となっている夏の大一番、8月25日の後楽園ホール大会で初の公式戦に臨む鈴芽(すずめ)だ。昨年1月4日にアップアップガールズ(プロレス)の4人がデビューして以降、東京女子の新人としては12人目。それだけ団体の魅力が広まったということになる。練習生を確実にデビューまでもっていく育成ノウハウ、道場の雰囲気まで含めて、東京女子には人気女子団体としての“力”があると言える。

 鈴芽は同期で5月にデビューした舞海魅星(まいうみみらい)とタッグを組み、中島翔子&里歩の「ツインカム・モンスター」と対戦する。中島と里歩はともにシングル王座を保持するトップ選手。ビッグチャレンジであり、それだけ鈴芽が期待されているということでもある。

 写真を見てもらえれば分かると思うが、鈴芽は「イズミ(仮)」として過ごしてきた練習生時代からファンの間では既に噂になっていた。「あの練習生、めちゃくちゃ可愛い!」というわけだ。8月12日の大会でエキシビションマッチを行なうと、その日に(チェキ会などの)物販で“先行デビュー”。いきなり長蛇の列ができた。

 リングネームとコスチュームのお披露目も、プレスリリースではなくイベントで。8月14日、ハロー!プロジェクトオフィシャルショップ東京秋葉原店でのトークイベントが舞台となった。アスリート出身でも芸能界からの転身でもない“普通の新人”としては異例づくしだ。プロレスはスポーツでありエンターテインメント。観客あってのジャンルなだけに、鈴芽のような注目のされ方も“あり”だろう。

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 イベントに同席したアプガ(プロレス)の“ヲタミウ”こと渡辺未詩曰く「アイドルだったら絶対推してる。可愛いので、ホントはみなさん(ファン)に見せたくないくらい(笑)」。

 できればアイドルになってほしかったとも語っていた未詩だが、鈴芽は「歌が歌えないので……」。もともと東京女子プロレスを何度も観戦しており、昨年5月に「最推し」の辰巳リカに手紙を渡して入門の相談をしたという。甲田哲也代表との面接は7月。それまでにもジムに通い、体力作りに励んだ。「今よりガリガリだったので、そのまま入門しても何もできないなと思って」と鈴芽。

 イベント中は何を言っても、何をやっても先輩たちに「可愛い……」とため息をつかせていた鈴芽だが、デビュー戦で中島&里歩と対戦するのはかなりの試練だ。いざデビューすれば、“人気”を支えるのはやはり試合内容になる。「里歩選手のキャリアには敵わなくても、気持ちと可愛さで負けないように頑張って」と激励したのはエース・山下実優。レスラーになるきっかけとなった辰巳は「これはチャンス。里歩さんのファンを奪っちゃうつもりでやろう」。

 トップレスラーとのデビュー戦に、鈴芽は「本当に光栄です。私が2回目に見た大会、一昨年の1.4後楽園でもお2人はトップ選手。闘う実感がないくらい」。しかし「同期でずっと一緒に練習してきた魅星と組むのは安心感があります。思い切りやるだけです」とも。

 鈴芽というリングネームは自分で考えたもの。「芽が出て育っていく」というイメージに加え「スズメバチみたいに強く」という意味もあるそうだ。小さくても刺せば一撃必殺。アイドル人気と同時に、ジョニー・バレンタイン、アブドーラ・ザ・ブッチャーに続く“毒針殺法”にも期待したい。

文・橋本宗洋

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