V.V Meiが10月13日に東京・両国国技館で行われる「ONE: CENTURY 世紀」で女子アトム級のリングに上がる。相手は2017年に同じくONEのリングで対戦し、リアチョークで一本勝ちしている台湾のジェニー・ファンだ。母国開催でのまさかの再戦には本人も「アトム級で勝ち星を伸ばしている選手かと思って準備をしていましたが……」と本音は複雑だ。しかし、「ジェニー・ファン2(2度目の対戦)では、どれだけ圧倒して勝てるのかが問われている」と前を向くと、打撃を的確に当て、しっかり防御する。ここ最近取り組んでいるスタイルを貫いて「自信をもって打撃を当てたい」と改めて決意を語った。

 両国で強烈なインパクトを残し、その先のタイトル挑戦に向けた足掛かりにしたいという思い以上に、V.V Meiには“示したい”ものがあるという。それが、「ストーリー」だ。

「自分がどうやってここまで来て、何を乗り越えて、このリングに上がっているのか。それを日本のファンはもちろん、世界のファンに示したい。これはONEが注力してきた部分でもあって、選手個々のストーリーに感動、共感したファンが声援を送っている姿を、海外を転戦しながら目の当たりにしてきました。今までは少し大袈裟に感じて遠慮していたかもしれないけど、苦しんでいる人、夢を追っている人に私のストーリーを通じて何かを感じてもらえたら嬉しい」

 「アンジェラ・リーに何度も負けているけど、そんなことには負けない。3度目の正直をものにするために、次に繋がる試合にしなければならない」と話すV.V Meiだが、実際には、もっと伝えたい別のストーリー、さらに伝えたい相手がいる。

 彼女にとってプロ格闘家としての人生は、引退後に始まる第2の人生の序章に過ぎない。ただ、いま情熱を燃やしているものこそが、その後の人生をより豊かにすることを彼女は理解している。2007年にプロの格闘家としてデビューを果たし、今年で12年目を迎えるベテランは“終わりを意識しながらの戦い”に日々励んでいる。自らの意思でいつでも辞めることは可能だ。仮に大きなけがをしたら、引退する覚悟もできている。それでも譲れないものが、いまの彼女を動かしている。

「今の若い選手の中には、早くからファイトマネーを多くもらえ、恵まれた環境の中で満足のいく練習を積めている人もいる。個々のストーリーだから否定するつもりはないが、私は長くやっているけど、決してラクな道のりではなかった。気づいたら12年経っていて(苦笑)、その間にはたくさんの困難や転機があった。格闘技や仲間が大好きであることが継続の一番の要因だけど……」

 9歳のときに母親を亡くしたV.V Meiだが、彼女の心の中には、今も母の教えと思い出が詰まっている。「極論ですけど、現役でも、余生でもなく、どう死ぬかなんですよね」とこぼした彼女は常に、ともに過ごした短い時間の中で、たくさんの教えを与えてくれた母と共に歩んでいるのかもしれない。

「この人生も母に与えてもらった。どれだけ最高に楽しんで、全うして、死んだときに最高の笑顔でお母さんに報告できるか。こんなこと言ったらおかしいですけど、勝った負けた、お金をもらったみたいなことは二の次。そのためには大好きな格闘技と精一杯向き合う必要がある。願わくばベルトを巻くためには、一つも手を抜くことはできないんです。ヤバいなという圧倒的な勝ち方、インパクトを残してみせます」

 10月13日、両国国技館での試合結果はもちろん、彼女が見せる“生き様(ストーリー)”からも目が離せない。

(C)AbemaTV

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V.V Mei vs クセニア・ラチコヴァ
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