11月16日に開催されたONE Championship北京大会「ONE:AGE OF DRAGONS」で、フィリピンの中堅ジェレミー・ミアドが、「跳びヒザ」一発で中国総合格闘技の次世代スターと期待されるミアオ・リータオを沈める衝撃のアップセットを演じた。
アジア各国からスターを輩出してきたONEにおいて、中国からもここ数年の間に、女子ストロー級王者のション・ジンナンや、バンタム級のリー・カイウェンといったタレントが誕生してきたが、ミアオ・リータオは中国総合格闘技界がONEに放つ第3の注目株といえる存在だ。
MMAでの試合は僅か6戦のルーキーだが、ONEの初代ストロー級王者にもなったベテラン、デェダムロン・ソーアミュアイシルチョーク(タイ)を左フックでKO、ポンシリ・ミートサティート(タイ)には判定勝ちと、中堅クラスの実力者を倒してきた中国勢では最も勢いのある1人。ゆえに下馬評も圧倒的にリータオ優位。自国開催のONEはいわばタイトル戦線に向けたお披露目的な意味合いも強く落とせない一戦だった。
一方のジェレミー・ミアドはフィリピンでムエタイ、ボクシングなど10代で頭角を現し、フィリピンのローカル団体「Blaze FC」のストロー級の王者を経てONEに2017年から参戦したが、ロビン・カタランなど強豪との対戦に3勝4負と1つの負け越し。前回は、リータオがKOしたデェダムロンのヒザに沈んでいる。いわばストロー級での生き残りをかけた一戦といえる。
試合はそれぞれ組み技でのフィニッシュを試みる中、1ラウンド残り2分から突如始まった打撃戦で“予想外”のクライマックスを迎える。フロント・チョークから左右のパンチで前に出るリータオに対して下がりながら応戦するミアド。と次の瞬間、リータオが追いかけてきた所にミアドがカウンターで右の跳びヒザを突き上げた。顎にクリーンヒットしたリータオは一撃失神だ。思わぬ結末に解説は「ヒザ、ヒザ、ヒザ!」と連呼した。
勝者敗者対象的な立場となったミアドとリータオの両者だが、荒削りながらストロー級戦線の中段グループから抜け出て、今後日本人選手のライバルとなり得る存在になりそうなポテンシャルを見せた。特にスリリングな打撃戦が顕著となっている近年のONEの戦いの中でも求められた要素をこの2選手は持っていることは確かだ。