“地獄の門番”の異名をとる大ベテランにしてみれば、箱下のビハインドなど生ぬるいものなのかもしれない。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」10月20日の第1試合は、KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)が大逆転で今期初勝利。一時は持ち点が箱を割る窮地に陥りながらも、南場の猛攻で鮮烈な大まくりを決めた。
第1試合はセガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)、KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾(協会)、前原、TEAM雷電・黒沢咲(連盟)の並びでスタート。8試合を終えた時点で最下位に沈むKONAMI麻雀格闘倶楽部としては、過去2年のスロースターターのイメージを払拭するためにも浮上のきっかけを掴んでおきたい一戦だ。
そんな思いとは裏腹に、試合は前原にとって厳しい展開となる。黒沢、茅森のツモアガリで点棒をじわじわと削られると、東4局と南1局には茅森に2600点(供託1000点)、1万2000点の連続放銃。南1局2本場を迎えた時点で、持ち点は箱下の-200点まで落ち込んだ。
しかしここからが“ゴジラ劇場”の幕開けだった。南1局2本場、“ガラクタリーチ”と称される得意の愚形リーチで5200点(+600点、供託1000点)のアガリを決めて地上に顔を覗かせると、親番の南3局1本場から本格的に進撃を開始。積極的な鳴きで活路を切り開き、まずは東・ドラ3の1万2000点(+300点、供託2000点)で2万点近くまで点棒を回復した。
さらに流局を挟んだ南3局3本場、リーチの黒沢とラス目で後がない堀が猛烈にプッシュする中、3副露のタンヤオ・赤・ドラの5800点(+900点、供託1000点)を堀から直撃。続く4本場でも役牌の發を仕掛けた發・南の3900点(+1200)のツモアガリで、一気に茅森と黒沢を交わしてトップ目に立った。
その後、堀の1万2000点(+1500点)の親被りで一時は僅差の2着目となるも、オーラスでは絶好の3面張から白・赤の2600点をアガって勝負あり。会心の大逆転トップに試合後のインタビューでは満面の笑顔を浮かべ、視聴者からも「嬉しそうな総帥可愛い」「ええ顔しとる」「ニッコニコで草」「こっちまで嬉しくなるわ」といった喜びのコメントが殺到した。
箱下まで点棒を減らすという大ピンチを「それはまったく問題ないです」と涼しい顔で振り返った前原。「うちはどうせ殴るしかないんだから。怖いのはアウトボクシングになってしまうこと。インファイトで戦っている間は大丈夫」とKONAMI麻雀格闘倶楽部らしい攻めの姿勢をあらためて強調し、放銃を恐れずに深く踏み込むスリリングな麻雀に魅了されたファンを沸かせていた。
【第1試合結果】
1着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)3万300点/+50.3
2着 セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)2万9200点/+9.2
3着 TEAM雷電・黒沢咲(連盟)2万4800点/▲15.2
4着 KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾(協会)1万5700点/▲44.3
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)