京大法学部卒の才女は「麻雀実況」というジャンルにおいても、その知性を全力で傾けて成長につなげているようだ。麻雀ニュース番組「熱闘!Mリーグ」が、プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の公式実況を務めるプロ雀士・松嶋桃(日本プロ麻雀協会)に密着。クイズ番組などでも活躍する人気女流雀士は、どんな努力を重ねて視聴者に麻雀を楽しく、わかりやすく伝えているのか。
麻雀の試合をライブで伝える麻雀実況という仕事。ネット配信が増え始めたころから出てきたものだが、まだまだその担い手は少ない。松嶋も今から10年ほど前、プロ雀士になって間もないころに関係者から誘われて初めてみたが、当初は「麻雀動画が今みたいにたくさんあったわけじゃないので、なんの手応えもないですね」と、完全な手探り状態でやるしかなかった。同じくMリーグの公式実況を務める小林未沙を参考にしてみようとしたが「全然ダメでした」と苦笑いするほどだった。
それが今では選手からも高く評価される実況者になったのは、研究あってこそ。「(麻雀)実況がプロフェッショナルなお仕事という意識が芽生えて、解説の人と楽しく麻雀を見よう、というスタイルにしました」と本腰を入れると、解説者に合わせて話題を変えるなどの工夫を取り入れた。そのためには、解説者が出している書籍も事前に読み込む“予習”も。このあたりは京大法学部で学んだ経験が活きている。
実況者として力がついてきた後も、努力は怠らない。「(アガリ牌の)残り枚数を数える時に、副露メンツに使われている牌をミスする」と、1人で放送を振り返る反省会をする。「自分の弱点を見つけるために見ています。やっちゃったなっていう日ほど、早く見返します」と、課題はすぐに克服する。
現役のプレイヤーでもある松嶋だが、選手としてMリーグに加わりたいかと問われれば、以前と今では心境が異なる。「前はもっと『なりたいです』って言えたんですけど、こんなに深いところまで選手が考えているのを間近で見ると、本当にすごい人たちだなと。あんまり軽々しく『なりたいですね』と言いづらくはなりましたね」と答えた。選手の凄みを感じ伝える仕事に就いたことで、自身の「選手」としての思いは変わったが、Mリーガーが憧れの存在に見えるようになったのも、松嶋の実況があってのものであることは、選手もファンもよく知っている。
(ABEMA/熱闘!Mリーグより)