まだここでは終われない。決死の覚悟で逆転トップを掴んだ“セレブ”の瞳は潤んでいた。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」3月8日の第2試合で、TEAM雷電・黒沢咲（連盟）がセミファイナル進出へ可能性を残す9勝目を獲得した。
【動画】苦しみながらのトップで感極まる黒沢咲（3時間20分ごろ～）
この試合の対局者はKADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾（協会）、U-NEXT Pirates・小林剛（麻将連合）、黒沢、KONAMI麻雀格闘俱楽部・藤崎智（連盟）の並びでスタート。第1試合で瀬戸熊直樹（連盟）が3着に終わっており、この時点でチームは最下位。ボーダーの6位までは80.2ポイント差、残り試合は「3」ともうマイナスは許されない状況で、黒沢は命運を託された。
試合は小林に親満貫のリードを許し南場へ。黒沢は親番の南3局1本場、3900点を小林からアガると、続く2本場はここまで苦しい戦いを耐えてきたご褒美のようなダブルリーチ。これを藤崎からアガってダブリー・平和・一盃口の1万2000点。小林をマクってトップ目へ立つ。
しかしトップへの渇望はライバル3者も同じ。3本場は堀に、南4局は親の藤崎にそれぞれアガリを決められ、2着目の堀とわずか2900点差で同1本場となった。ここで黒沢はメンツ手とホンイツを両天秤に進行。ドラの中を切り飛ばし、ソーズがあふれた9巡目、ホンイツに決めてピンズのリャンメンターツ落としの末、1索と西のシャンポン待ちとなる。親の藤崎は黒沢が切った中をポンし、こちらも二・五万のテンパイ。負けられない2チームがここでめくりあいとなった。
この戦いは、藤崎が1索を掴んで黒沢の粘り勝ち。ホンイツの6400点（＋300点）は、セミファイナル進出へ可能性を残す9勝目の決まり手となった。試合後、黒沢はしばらく椅子から立ち上がることができず、じっと潤んだ瞳で卓上を見つめており、その様子がモニターにも映し出された。そしてまた意を決したように、スタジオを後にする姿には視聴者から「かっけえええええええ」「誰よりも素晴らしい麻雀やった…」「かっこよかったよお嬢」と、インタビューを待たずに賛辞が連続投稿されていた。
試合後の黒沢の声はかすれていた。「迷ったら思い切って（攻めて）いこうという監督からいわれて、前向きにいってトップが取れて良かったです」と絞り出すように心境を語った。
また、「あえてポイント差は見なかった」と語り、そうすることで目の前の試合に集中して臨み、自分らしく打てた要因となったことを打ち明けた。最後は「残り1日、面白いと思いますので“3人で”頑張ります」とチームの結束をアピール。盟友の瀬戸熊直樹（連盟）はTwitterで「素晴らしい！ お嬢ありがとう！！」と投稿、価値あるトップを喜んだ。
リーグ初年度の2018シーズンは7チーム中最下位、2019シーズンは8チーム中5位でセミファイナル進出と、徐々に結果は出ているチーム状況、積み上げたものをここで失うわけにはいかない。この日、“セレブ”の覚悟がチームを救った。残り2試合、死力を尽す戦いは続く。
【第2試合結果】
1着 TEAM雷電・黒沢咲（連盟）4万100点／＋60.1
2着 KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾（協会）3万500点／＋10.5
3着 U-NEXT Pirates・小林剛（麻将連合）2万9800点／▲10.2
4着 KONAMI麻雀格闘俱楽部・藤崎智（連盟）－400点／▲60.4
【3月8日終了時点での成績】
1位 渋谷ABEMAS ＋548.4（86/90）
2位 KADOKAWAサクラナイツ ＋457.9（88/90）
3位 EX風林火山 ▲41.3（86/90）
4位 赤坂ドリブンズ ▲87.7（86/90）
5位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲166.1（88/90）
6位 セガサミーフェニックス ▲205.0（86/90）
7位 TEAM雷電 ▲225.1（88/90）
8位 U-NEXT Pirates ▲281.1（88/90）
※連盟＝日本プロ麻雀連盟、最高位戦＝最高位戦日本プロ麻雀協会、協会＝日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ（各16試合）、さらに上位4位がファイナルシリーズ（12試合）に進出し、優勝を争う。
（ABEMA／麻雀チャンネルより）
