13日、多くの人が望む「長寿」に関する新たな研究結果が発表された。
理化学研究所と慶應義塾大学医学部の研究グループが突き止めたのは、110歳以上の「スーパーセンチナリアン」と呼ばれる高齢者は、特殊な細胞を血液中に多く持つというもの。
研究では、110歳に到達した高齢者7人と50~80歳の5人から採血を行い、血液中に流れる免疫細胞を解析。すると、スーパーセンチナリアンには、人の血液にあまり存在しないはずの「CD4陽性キラーT細胞」が多く含まれていたという。
「キラーT細胞」は、がん細胞などを攻撃する免疫細胞の1つだ。遺伝子解析ベンチャービジネスを展開するジーンクエスト代表取締役の高橋祥子氏によると、「通常CD4陽性は“ヘルパーT細胞”という細胞に分化し、CD8陽性キラーT細胞の働きを補助する役割を持っている。これがキラーT細胞に分化することは特殊な条件下のみ」だそうで、「CD8陽性キラーT細胞は加齢とともに減っていくことがわかっているが、今回は110歳以上の方にキラーT細胞、中でも特殊なCD4陽性キラーT細胞が多いということが発見された」と説明する。
しかし、長寿とCD4陽性キラーT細胞の因果関係はまだわかっていないようで、「通常のキラーT細胞が加齢によって減ったことでCD4陽性キラーT細胞が増えたのか、CD4陽性キラーT細胞が多い人が長生きしたのかはまだわからない。ただ長寿に重要な役割を果たしているのではないか、ということまでがわかっている」とした。
では、因果関係があった場合、CD4陽性キラーT細胞を使って長生きするということは可能なのか。高橋氏は「可能性としてはあり得ると思う。今のがんの免疫療法はこのキラーT細胞の役割を薬で助けるというもの。実際にiPS細胞でキラーT細胞自体を増やしていく研究もなされていて、将来的には自分の血液から採ったiPS細胞からキラーT細胞を作って注入することで、がんへの耐性が強くなるかもしれない。健康寿命を伸ばすことにより重点が置かれることになると思う。平均寿命が110歳まで伸びて、『80歳で死ぬなんて若い』と言われるようになるかもしれない」との見方を示した。
今回の研究成果は、科学雑誌『アメリカ科学アカデミー紀要』のオンライン版に発表されている。研究グループは「研究を続けて多くの人を調べていって、メカニズムを解明したい」としている。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)