人種差別への反意で奮い立った大坂なおみ 全米OP優勝を支えた地道で過酷なトレーニングと新コーチ
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 2度目の全米オープン優勝を成し遂げたテニスの大坂なおみ。一夜明けの会見に、鮮やかな赤い衣装で記念撮影に臨むと、優勝後のTwitterでは「祖先に感謝したい。彼らから受け継いだ血が体中を巡り、負けるわけにはいかないと思い起こさせてくれた」とつづった。大会期間中は、人種差別への反意を示すマスクでも注目を集めたが、精神的な成長だけでなく、地道で過酷なトレーニングと新コーチの存在が、トップアスリートを支えていた。

【動画】大坂なおみ、全米OPで2度目の優勝!

 9月13日の会見で、大坂が触れたのは周囲からのサポート。「彼はとても厳しく私に良いバランスを教えてくれました。これからもっと強くなるために何ができるか考えたい」と語った中で登場したのは、今年6月から「チーム大坂」に加わった日本人トレーナーの中村豊氏だ。同じくテニスのトッププレイヤーだったマリア・シャラポワを指導した経歴を持つ中村トレーナーが、大会に向けて大坂を強化した点はどこだったのか。

人種差別への反意で奮い立った大坂なおみ 全米OP優勝を支えた地道で過酷なトレーニングと新コーチ
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 中村トレーナーは「何かを変えていきたいという気持ちが強かったと思う。コロナ禍で2カ月間、計画性を持ってトレーニングを毎日遂行できたことが彼女の自信になっているのかなと思う」と説明。コート内で加速・減速を繰り返してボールを打ち合うテニス特有の動きを強化。新型コロナの影響でツアーが休止となった8月まで、2か月以上にわたってフットワークを鍛えた。「自分が動こうとした時に体が反応してくれる。動きの中で足と足の歩幅が広くなっている。2~3cmかもしれないですが、体の動きがよくなっていると言っている」と、確実に好影響をもたらした。

 全米オープンの決勝では過去20年以上、第1セットを先取された選手が敗れ続けてきた。大坂も第1セットを取られたが、粘りのテニスで逆転優勝。フットワーク強化で土台を鍛え、手に入れた技術と自信がその結果につながった。「まだまだ大坂選手のテニス選手としての深み、面白さというのがこれからもっと出てくる。強くなると思います」と、今後のさらなる活躍への期待も大きくなっている。

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 明星大学准教授で臨床心理士の藤井靖氏は、大坂の優勝について「よく精神的成長と言われるが、テーピングをした太もものところをたたく行為が、結果的にルーティンとしてリズムを作る機能を果たしていたように見えたし、ここのところは苦笑いが減った印象があって、精神的な安定性というか、ピンチやチャンスなどいろいろな場面に応じたイメージリハーサルがなされていたように見受けられる。データを重視するといわれている新コーチの存在もフラットな精神状態を作るにはマッチしていたのでは」と、心理面での充実を指摘した。

 さらには、「今回は、自身のアイデンティティにも大きく関わる人種差別に関する反意が印象的だった。何かに対する反発心は、心理的なベースとしては強力な後ろ盾になるし、しかも世間が行為を好意的に捉えたことは彼女の心の中での良循環につながったと思う。マスクを試合数分、7枚用意したのも決勝までのイメージを持ち、モチベーションを保つ助けになったのでは。実力はいうまでもないが、これら心理的なプラス要因がパフォーマンスの高さに寄与した部分はあったのではないか」と、これまでの大会とは異なる強い気持ちがあったとも分析していた。

ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)

大坂なおみの努力、トレーナー語る
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