中国で細菌漏洩し3000人以上が「ブルセラ症」に感染 地元雑誌がスクープも新聞各紙は「一切載っていない」
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 中国のワクチン工場で去年、感染症のブルセラ症の原因となる細菌が漏れ出し、付近の住人約3000人が感染していたことがわかった。細菌が漏れたのは、中国・甘粛省の医薬品工場。中国メディアによると、去年7月から8月にワクチン製造に使用した細菌が、排気に混じって外部に漏れ、住民ら3000人以上が感染したという。使用期限の切れた消毒剤を使っていたため、滅菌が不十分だったことが原因だとしている。その感染症というのが「ブルセラ症」だ。

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 感染すると40度以上の高熱を繰り返すことがあり、日本の国立感染症研究所によると治療しない場合の致死率は約5%だという。今回の細菌漏洩について、地元当局は去年12月に公表したが、感染者は約200人だとしており、今回の報道の翌日に改めて3000人以上の感染を発表した。

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 感染症を引き起こす病原体といえば新型コロナウイルスが思い浮かぶが、今回のブルセラ症の感染経路などについて専門家に話を聞いた。国立感染研究所の今岡浩一氏によれば、「感染力は非常に強いと言われている」もので、「少量の菌でも感染が成立するといわれており、今はそれほどでもないが検査室や実験室での感染事故が非常に多い病原体であると言われていた」と、その感染力の強さを説明した。

 気になる人から人への感染については「非常に稀」なもので、「ヒト-ヒト感染で報告されているものとしては、セックス・授乳・輸血で感染した例はあるが、極めて稀」だとした。人に感染する主な原因は「感染している家畜」で、牛やヤギ、羊の肉や乳からのもの。「感染している動物の乳の殺菌が不十分であったとか、感染動物の乳や乳製品、肉製品を食べることによって感染することが多い」と語った。日本国内でもブルセラ症の患者は報告されるが、その全てが海外で感染して国内で診断されたもの。いわゆる「輸入感染症」の扱いとなる。

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 またテレビ朝日・千々岩森生ANN中国総局長によると、現地の報道については「今週になって一気に動いた話。スクープした雑誌は、新型コロナの件でも非常に活躍した。蘭州の政府が月曜日に報道があった後、火曜日になってようやく2万人の検査をして、3000人も陽性の人がいたと発表した」と、経緯と政府の後手に回った対策を説明。さらに、この発表を受けての現地メディアの動きについて「新聞各紙では一切載っていない。ネットでは少しだけ発表が書いてあるだけ。日本で3000人も病気にかかればトップニュースだし、新聞でも1面のはず。新型コロナを経ても、まだこんな状況が続いている。さすがに中国のSNS上でも、なんでこんな大事なことが公表されないんだ、隠蔽じゃないかという言葉が溢れている」と状況を伝えた。

 去年12月に200人の感染が明らかになったのも、メディア経由でなく現地の人々によるSNSへの発信がきっかけとなったもの。感染症における中国での情報開示については、今後も注視が必要だとしていた。

ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)

中国で3000人感染「ブルセラ菌」隠蔽か
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