「若い人はもうちょっと抑えましょう、中高年の方はもうちょっと行ってみましょう」“飲み会は10日に1回”提唱の尾崎治夫・東京都医師会会長に聞く
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 「一回飲んだら10日間は飲み会に行かない。こういう“every ten days”を守っていただければいけるんじゃないか。10日間ごとに飲みに行く、これは安全なのではないかという提案だ」。

 9日の『ABEMA Prime』では、先週、“飲み会は10日に1回”と提唱し話題を呼んだ東京都医師会の尾崎治夫会長に、直近の新型コロナウイルスの感染拡大状況、そして対策について話を聞いた。

・【映像】京都医師会 尾﨑会長が提唱する「every ten days」とは?

■「マスコミには“数だけで不必要に心配しないでください”というメッセージをお願いしたい」

 9日、東京都の小池知事は「このところの傾向を見ると抑えられるかどうか、というのは心配している」とコメント、政府のコロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は「最近になってクラスターの多様化、数も増え、そうした中、減少要因を下に下げる要因を早急に強めなければ急速な拡大傾向に至る可能性が高い」と指摘している。

 加藤勝信官房長官は、「ある都道府県がステージIII相当にあると判断された場合には、当該事業にかかる感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を除外することも検討していただきたいという提言をいただいている」と、Go To キャンペーンの対象見直しにも言及している。

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 尾崎会長は、マスコミの報道について「例えば週明けの月曜日は金土日を挟むので、検査数が少ない。にも関わらず、今日は200人に増えた、今日は2桁に減ったいった報道が毎日なされている。これを聞いている人は、“だんだん感染者が減ってきたのかな。急に増えてきたのかな”と感じるだろう。そうではなく、例えば1週間の足した数を先週と比べてどれだけ増えたか。あるいは重症者、年齢層がどうなっているのか。そのあたりも簡潔に伝えていただき、“数だけで不必要に心配しないでください”というメッセージをお願いしたい」と話す。

 「確かに欧米に比べれば、感染者数は圧倒的に少ない。超高齢化社会にも関わらず、亡くなられる高齢者も非常に少ない。いわゆる“ファクターX”という話だが、日本人は非常に敏感に反応していただけるし、感染防止対策を守る方が多いのだと思うし、行政、保健所、医療機関などがしっかり検査をしながらクラスターを追跡し、そして感染者を入院、宿泊、自宅療養と、丁寧に分けながらやっているからだと思う。そういう意味では“たいしたことは”ないと言う方ももちろんいるが、冬場は気温が下がるのでウイルスの寿命も延びる。そして湿度も下がるので、口から飛んだ飛沫が3m、4mと遠くに飛んでしまう。その一方、粘膜や気道の運動が落ちてしまうので、入ってきたウイルスを外に出せなくなってしまう。だから余計に換気が必要だが、寒いのでしづらい。そういうこともあって、同じ状況でも冬場の方が感染の可能性は高くなってくる」。

■「北海道の観光地を訪れるだけでは感染の可能性は低い」

「若い人はもうちょっと抑えましょう、中高年の方はもうちょっと行ってみましょう」“飲み会は10日に1回”提唱の尾崎治夫・東京都医師会会長に聞く
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 また、新規感染者が急増する北海道では、鈴木直道知事は独自に定める警戒ステージを3に引き上げ、札幌市すすきの地区の接客を伴う飲食店に時短営業の要請を始めている。

 尾崎会長は「疫学的分析をしてみると、まず、海外から入ってきたものが夜の街に行き、そこが引き金になって若い人たちを中心に孤発例が広がる。次いで中年、しばらくすると家庭内に及び、そして最後は病院や福祉施設における感染につながっていく。これは東京でもそうだし、第1波、第2波でも同じような構図だ。北海道でも、やはり最初のところをいかに抑えるかということがポイントになってくるだろう」との見方を示す。

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 「家族でGo To トラベルを使って北海道の観光名所や温泉に行っただけでうつるかといえば、そういうことはないと思う。行く側も受け入れる側も気をつければ、そんなに害はない。引き金になってくるのは、歓楽街の接待を伴う飲食店に行くといった行動だ。どこで感染が広がっているのかを検討しながら、例えばすすきので時間要請をするといった対応が必要で、北海道全体をGo To トラベルの対象から外すようなことではないと思う。一方、例えば通勤・通学で千葉や埼玉、神奈川の方々は東京を行き来している。もし感染が広がっているとしたら、程度の免疫力はできていると考えられる。そういう人たちが遠くの免疫がないようなところに行き、広げていく可能性はある。そこで近場でのGo Toをやってはどうか、という話は国会でもさせていただいた」。

■「若い人はもうちょっと抑えましょう、中高年の方はもうちょっと行ってみましょう」

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 こうした状況の中、東京都医師会が提案したのが「every ten days」だ。「なぜ英語なのか?、なぜ10日間なのか?」といった疑問の声も上がっているこの提案について、尾崎会長は「標語として、メディアに取り上げられやすいと考えた」と説明、「10日に1回」の理由について次のように話した。

 「まず、滞在時間が長く、人数が多く密になれば広がる可能性は高い。そして感染(0日目)後、発症するのは概ね4~5日目、そして感染力が出てくるのが発症前の2~3日前ということがいわれている。これがコロナの特徴で、インフルエンザのように具合が悪くなり、熱が出てから感染するというわけではない。ここが厄介だ。つまり、飲み会(0日目)に行って感染した人が3日目、4日目にまた飲み会に行けば、今後は他の人にうつすことになる。基本的には前回の飲み会から10日間を空けると、発症する人も無症状感染している人も感染力はなくなっていることになる。理想を言えば、“直近1週間~10日はどこにも行っていないよ”という気心の知れた参加者5人以内で、という提案だ。逆に言えば、高齢者でもこの提案を守って飲む分には危険ではないの。若い人はもうちょっと抑えましょう、中高年の方はもうちょっと行ってみましょうということだ」。

 また、これから始まる忘年会シーズンについても「やはり宴会奉行、幹事さんがお店をしっかりチェックをすることも必要だと思う。それから酔っ払ってくると席を移動するということも出てくるので、その辺あたりはコントロールしながら“30分に1度は換気しようぜ”などと言ってもらえれば、より安全に飲めると思う。第1波が起きた緊急事態宣言下では、全く飲みに行けなかった。これからの冬場には全国の大都市周辺で増えてくることにはなるが、我慢しながら感染を抑えつつ、でも楽しみを残すためにということだ」と訴えた。

 さらに飲食中のマスクの着用など、基本的な感染防止対策については「触って手についたとしても、ウイルス量としては非常に少ないため、接触感染はほとんどないのではないかと言われている。人間には自然免疫もあるし、ちょっと口に入ったくらいで感染することもないだろう。問題は、大声を出したりすると遠くまで飛沫が細かくなって飛ぶことによる飛沫感染だ。相手が感染しているかもしれないという前提に立てば、お互いにマスクをすることによって8割くらいは感染を防げるといわれているが、静かに食べている分にはそこまで危険はないし、ある程度は安全な人だとわかっている時にも神経質にマスクをする必要はないと思う」とした。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

東京都医師会 尾﨑会長が提唱する「every ten days」とは?
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