Twitterで話題の“ガイコツ先生”を直撃 オンラインで学生の興味を引くためには “教員のキャラクター”の重要さも
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 「皆さん、こんにちは。今日はみんなと一緒に骨学、骨の勉強をしてみたいと思います」

 突然授業を始めたのは、なんとガイコツ。Twitterに投稿されたこの「ガイコツ先生」による骨の授業が今、大きな注目を集めている。

【映像】“ガイコツ先生”による授業の様子

 その理由は、抜群の分かりやすさにある。「人間の骨ってどんな構造しているかというと、こんな構造をしているわけですね」とその場で回って骨格の全体像を見せてくれたり、「胸の骨を見ると、真ん中に太いのがあるじゃないですか。これを胸骨といいます。胸骨からこうやって肋骨が出ているわけです。さらに、胸骨から出ている細い骨、これは鎖骨といいます」と、説明と動きがマッチしていることで内容がすっと入ってくる。

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 実際にTwitter上でも、「発想が素晴らしい」「指や棒で指して説明するよりも、本人が動いて説明した方がうんと楽しくてわかりやすいです」といった声があがる。

 VR(=仮想現実)を利用して作られたこの動画。制作したのは、VR教育を専門とする関西の大学の准教授だ。『ABEMAヒルズ』の取材に、動画と同じ“ガイコツ姿”でインタビューに答えてくれた。

 「頭にヘッドマウントディスプレーがあって、手にはVRゴーグルのコントローラーがあるんです。そのVRゴーグルと頭と手の動きがガイコツに反映されることになっている」

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 実際の動きをバーチャルに投影する技術を利用して動画を作っているとのこと。普段からオンライン授業で活用しているそうで、今回ガイコツに扮したのはあるひらめきがきっかけだという。

 「普段の授業はガイコツではなくて普通の“おじさんアバター”を使ってるんですけど、よく考えたら、自分の体を使って説明するなら骨にした方がわかりやすいんじゃないかと」

 教育へのVR技術の活用に力を入れているのは、このコロナ禍ならではの事情も大きいと話した。

 「コロナのせいで、大学の前期の授業が全部オンラインになってしまった。普通の先生ってパワーポイントに動画と音声を吹き込む授業動画が多いんですけど、それだと学生さんが退屈というか、あまり先生の存在感が感じれらないんですよね。そこにいきなり僕が出てきて、『今日は電場のことやりますよ』みたいなノリでしゃべると、やっぱり学生さんにウケるというか、本当に先生から授業受けてるんだって感じになるんですよね」

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 学生の興味を引くこうした工夫について、明星大学准教授で臨床心理士の藤井靖氏は「多くの大学では90分授業を採用しているが、なかなか集中は続かないもの。僕が大学生の頃は一方的に教員が喋り続ける授業もなくはなかったが、今は学生の興味をいかに引いた上で学習効果を高めるかが大事だと思う。最近は、YouTubeやわかりやすい専門書もたくさん出ていて、学生が学ぶ“教材のライバル”がすごく増えている。大学の授業も工夫が必要な中で、この試み(ガイコツ先生)は目を引くし、興味を持って学びを深めることにつながるのではないか」と話す。

 また、藤井氏自身も授業が単調にならないよう工夫しているといい、「動画を見せたりワークをやらせたり、90分を短く切って切り替えを多くしながら構成するようにしている。いずれにしても、大学の授業は学びを深めるきっかけのひとつだと思うので、まず学問に対する興味を喚起しないと始まらない。逆に言えば、そこで興味を持ってもらえると、学生も授業外でどんどん自分で学んでいくと思う」と説明した。

 さらに、そこには教員の“キャラクター”も大事になってくるという。「学びに対してモチベーションを持って、そして楽しさを感じるのはなぜかというと、やはり一番は教員の個性。その教員ならではの話が聞けるということだと思う。授業内容はいくら工夫してもいずれ飽きにつながりうるが、教員のキャラクターにはそれがない。オンラインだとしても同様。そういう意味でいうと、ガイコツ先生はこの方のキャラクターなわけで、例えば小学校や中学校、高校でもキャラクターが濃い先生は覚えているはず。それが学びを深める入り口の一つになると僕は思う」と述べた。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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