コロナ禍でビットコインが最高値水準に高騰…識者が“億り人バブル”とは違うと口を揃える理由
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 米国時間の11月30日、上昇を続けていた仮想通貨(暗号資産)ビットコインの価格が1BTC=1万9850ドルに達し、市場最高値を3年ぶりに更新した。日本でも今月1日に一時200万円を超えるなど、最高値を伺う情勢となっている。

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 3年前に価格が急騰したことで話題を呼んだ仮想通貨。特にビットコインは一時1BTC=220万円を超え、売買によって資産を築き“億り人”なる言葉も生まれた。とはいえ、その後、相場は急落。さらに2018年には580億円分のNEMが流出するコインチェック事件が起き、交換業者に対して金融庁が行政処分を科すなど、ネガティブなニュースも相次いだ。こうしたことから、投機的なイメージが先行、さらには“オワコン”というイメージも付いて回っていた仮想通貨だが、ここにきて再び注目が集まっているのは何故なのだろうか。

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 日本暗号資産取引業協会(JVCEA)会長も務める三根公博・bitFlyer代表取締役は「前回(2017年)、俗に“バブル”と言われた時には、ビットコイン以外の仮想通貨もかなり上がっていたが、現在はビットコイン主導の上げ相場だ。様々な要因があるが、やはりコロナ対策として各国の中央銀行が大規模な金融緩和を実施したことが挙げられると思う。そこで余ったお金が株式、さらには仮想通貨に向かったということだと思う。例えばアメリカの大手金融機関が価値の保存手段としてビットコインをはじめとした仮想通貨を真面目に選び始めた。そうしたことによって不信感が薄れたことも下支えになっているのではないか」と分析する。

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 また、今年1月に「2~3年後には500万円くらいになっていてもおかしくない。それでも控え目な予測だ」と大胆な予測を披露していた慶應義塾大学の坂井豊貴教授も、「やはり金融緩和が大きかったと思う。重要なのは、そこで余ったお金がなぜビットコインに向かったのか、ということだ。円やドルなど、いわゆる法定通貨は国家がマーケットにジャブジャブ供給することができる一方、仮想通貨は発行数量が厳格に定まっているため、つまり国がお金の価値を薄めてしまうことによるインフレリスクをヘッジできると。そういう価値が認められてきているということだと思う。これまでは価値を保存する手段としてゴールドが有力だったわけだが、ビットコインもそういうブランドの地位を本格的に獲得してきている」と指摘する。

 さらに坂井教授は「このコロナ禍で、お金を何に使うか、投資するかというときに、有力な金融商品を選ぶというのがあると思う。しかし、先行き不透明な今、株式を買うのは怖い部分もある。そこで、むしろビットコインの方が安全なのではないか、という判断をしているのだと思う。確かに3年前は“億り人だ。ウェーイ”みたいな雰囲気、胡散臭い雰囲気があったと思うが、今回はそういうバブルだとは感じない。もともと持っていた人も浮ついていないし、新規ユーザーも含めて、状況を冷静に認識している人が多い。決済アプリ『Cash』がビットコイン取引に対応しているし、世界に3億人以上のユーザーがいるペイパルもビットコインの売買をできるようにする。将来的にはビットコインで物を買うということも見えてくる。物差しを法定通貨で考えるのではなくビットコイン基準で考えれば、法定通貨の価値が下落している、大丈夫か?という話でもある」と話した。

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 「値動きをずっと見ていなければならないようなものには手を出さない」と話す慶應義塾大学特別招聘教授の夏野剛氏は「前回のバブルでは、中国の人たちが流動性の低い人民元から資産を移してきていたが、最近は中国経済が堅調なので、そうではないところから流れてきているし、機関投資家が1~2%も持っているという意味では、下手するとニュージーランドドルよりも安定性が認められ、信用力が高まっている可能性がある」との見方を示す。

 「お金が株式市場に流れ込んだ結果、どの市場も高値になってはいるが、アメリカでは政権が起きようとしているし、日本でもコロナ禍だから仕方ないけれど、これだけ財政赤字を抱える中で財政出動して、今後どうなるの?という心配がある。そういう国家がバックアップする通貨に対しては信頼性が低下しているし、米国株や日本株についても、これを買うよりは仮想通貨の方がいいんじゃない?という相対的な考え方があるということだと思う。個人のレベルでも、年率0.01%で預金をしている人が、もうちょっと何かした方がいいかなと考えた時、株よりは相対的に良さそうだな、と思える魅力が出てきているということだ」。

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 投機的な側面が薄れたという見方がある一方、セキュリティの面では改善が図られているのだろうか。三根氏は「今年5月、資金決済法と金融商品取引法が改正され、我々業者への規制が強化された。例えばお客さまから預かっている仮想通貨の保存先も、常にネットワークにつながっているホットウォレットではなく、原則としてコールドウォレットに置き、ハッキングされても簡単に盗まれないようにしなさいということになった。仮にハッキングされたとしても、お客さんの資産が保全されるよう、ホットウォレットに置いている部分の預かり資産の部分は同資同量のものを自分でコールドウォレットに持ちなさいという、預金保険のような形になった。当然、業界としても技術的な対策をやっているし、3年前に比べて相当しっかりとした取り組みになっている」と説明した。

 坂井氏も「僕の感覚だが、まだ日本政府は仮想通貨に対してそんなにフレンドリーではない。例えば税制の適用の仕方でも、株に比べて高い税金を払わないといけない。ただ、それでも仮想通貨はお金のある“貴族の遊び”では決してない。少額から買えるので、試してみたらいいと思う。そうすれば、暗号資産の面白い世界が分かってくる。ぜひ、新しい世界を知る意味でやってみたら面白いと思う」と訴えた(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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