「希死念慮は時間差で現れる」「夜間が危ない」5カ月連続の自殺者増に臨床心理士が警鐘「SNSもうまく使ったコミュニケーションを」
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(2枚)

 新型コロナウイルス感染が拡大する中で、厚生労働省によると11月の自殺者は全国で1835人となり、7月以降5カ月連続で前の年を上回っていることがわかった。

【映像】自殺者増で女性のチャット相談も増加

 こうした傾向について、明星大学心理学部准教授で臨床心理士の藤井靖氏は「6月まではむしろ自殺者数が減っていた。これはある程度我々も予想していたところで、職場や学校も含めて、コロナ禍でストレスの原因から距離が取れたことが背景の一つ思う。一方で、7月から増加に転じているということで、精神的な不調、その結果としての死にたいという希死念慮は時間差で現れる。心配された状況に今なっている」との見方を示す。

 また、死にたいといった気持ちを相談できる環境は大事だとし、「自殺したい、命を絶ちたいと思う人の心理として、一番大きなものは孤独。誰かとつながることが大事で、ひとつはダイヤルや窓口、専門家がある。しかしそれだけでは限界があって、もうひとつ大事なのは身近な人間関係。家族のことで悩みを抱えていたら友達や職場の関係の人など、専門家と同時に身近なつながりの中で日常的に心を癒やしていくことが大事。たとえ死にたいという気持ちがあった時にも、それをタブー化しないでぜひ率直に話題にしてほしいと思う」と述べた。

「希死念慮は時間差で現れる」「夜間が危ない」5カ月連続の自殺者増に臨床心理士が警鐘「SNSもうまく使ったコミュニケーションを」
拡大する

 さらに、亡くなる時間帯が夜から朝方に多いことを説明。「誰しもそうだが、夜になると衝動性が止められなくなったり、冷静に判断したり長期的な計画を立てることが、昼間に比べて相対的にしにくくなる」という精神的な変化に加えて、「死にたいと思って行動に移そうと思った時に、夜は止める人が少なくなる」という昼間との環境の違いがあるという。

 藤井氏もSNS上で発信する時間帯に気をつけているといい、「死にたいと思っている方向けに投稿したりもするが、その時間は午前0時半とか1時台にしている。予防のためにチャットで相談できる場所もあるが、やはりSNSの力もうまく使ってコミュニケーションを増やしていきたいと思う」と述べた。

 厚生労働省は悩みを抱えている人相談窓口の利用を呼びかけている。

・いのちの電話:0570-783-556

・こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

木村花さんを中傷した男性を書類送検
木村花さんを中傷した男性を書類送検
この記事の写真をみる(2枚)