コロナ禍で性風俗従事者の女性のメンタルヘルスが悪化か 臨床心理士が調査
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 新型コロナウイルスの感染拡大が様々な産業に打撃を与える中、臨床心理士の藤井靖氏の調査によって、性風俗産業に従事する女性たちのメンタルヘルスが一般女性に比べ著しく悪化していることがわかったという(n=71)。

・映像:実態調査で明らかになった"性風俗と心の病"必要な支援策は?

 調査について藤井氏は「もともと性風俗産業に従事されている方々の精神状態があまり良くないということやケアの必要があるということは共通認識としてあったが、調査をしたり、客観的なデータを取ったりというは難しかった。経営側からすれば抜けられてしまうのは嫌なので、実態把握も難しい。だから働いている人の規模自体も15~30万人というような、非常に幅の広い範囲でしか把握できていない。僕の場合、気持ちよく働ける人が増えればサービス向上にも繋がり、業界のためにもなると説得して調査に協力してもらっているが、それでもスーツで行くと、異物が入ってきたという感じで溶け込めない。だからちょっと緩い服装で待機所に通ってみる。すると最初は後ろ向きでも、話してみるとスッキリしたから、また話したいということにもなる」と説明する。

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 「わかってきたのは、“抑うつ”の指標の高さだ。同年代の一般女性のうち、通院している方が全人口で1.6%なのに対し、調査対象の方は25%が通院している。さらに過去の通院歴も含めると17%対68%という結果が出ている」

 また、とりわけ新型コロナウイルスの感染拡大以前から業界にいた人が悪化しているといった特徴が見られたという。

 「コロナ以後に入店した方は20代前半の方が多く、若い方が選ばれがちな業界においては、結果的に以前から在籍していた人がお客さんを取られてしまうという状況が出てきていることが考えられる。また、高い収入を得ているというイメージもあると思うが、今回の調査では、1カ月の生活費の平均が家賃込みで平均18万2000円なのに対し、7割くらいの人はそこからプラスマイナス3万2600円の範囲に収まっていた。借金を抱えていて、返済のために生活が苦しいという方もいた」。

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 こうした課題について藤井氏は「相談窓口など、行政による福祉的なサポートの仕組みを整え、周知することも必要だし、そこにアクセスできないという問題も解決しなければならない」と指摘する。

 「ご本人は“性風俗落ち”などと言われることを嫌うこともあるが、やはりキャバクラやクラブで働かれていた方が稼げなくなって性風俗へ行くという構造もある。そうした状況について、“自分で選んだこと”と思い込んでしまっている方もいるが、コミュニケーション能力が高く、スキルや資格をお持ちの方もいる。“確かに、でもどうやって働いたらいいんだろう”と、情報・視点が不足していると感じることもある。あるいは、自分に自信がないという人も多かった。うつが強くなると行動も起こしづらくなる。その意味では、業界の中でのサポートも必要だと思うし、“お客さんに物みたいに扱われている”と話す方がいたことを考えると、客の側がも“お金を払っているんだから”ではなく、“楽しかったよ。頑張ってね”という一言をかけるだけで違ったりもする」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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