映画『名も無き世界のエンドロール』主演の岩田剛典は、作品への思い入れや、演じた人物像の詳細、共演者とのエピソードなど、インタビューで饒舌に語った。質問に対して、冗談を挟みながら答え、ときには「う~ん」と少し考えた後に自身の正解を導き出したりなど、それは見慣れた光景のはずだった。
 しかし、この日は俳優としての彼の顔に少し驚かされるところもあった。
 岩田が所属する三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEは、2020年11月10日でデビュー10周年を迎えた。本取材は、メモリアルな10周年、一夜限りの特別なライブを行った数日後、そんなタイミングで行われた。まだ興奮冷めやらぬはず、体に余韻も残っているかもしれない、というこちらの推察を鮮やかに裏切るように、岩田は現場で俳優としての穏やかな表情しか見せなかった。10年積み上げた彼のキャリアが、瞬時に俳優モードに切り替わるようになっているのだろう。