「緊急事態宣言で何がどう変わって感染者数が減ったのかという因果関係の分析を」 “なんとなく”の延長ではモチベーション維持しにくく?
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 「個別に地域ごとを見ていると、実際にはまだ感染の水準が高いこと、医療のひっ迫は相変わらず続いているというのが現状だと思う」

 1日の衆議院内閣委員会で、緊急事態宣言の解除に否定的な認識を示した新型コロナ対策分科会の尾身会長。また、西村経済再生担当大臣は、コロナ特措法の改正案で新設される「まん延防止等重点措置」について、感染状況の「ステージ3」相当での実施を想定していると説明した。

【映像】“緊急宣言”延長有無で第4波の時期に大きな差

 政府は11都府県に緊急事態宣言を発令しているが、首都圏の1都3県と関西の3府県については、今月7日の期限を1カ月程度延長する方針だ。福岡についても「状況は厳しい」と、延長の可能性を示唆している。愛知と岐阜については、感染状況を見極めて判断するとし、新規感染者数が減少している栃木は解除を検討するとしている。あす正式に決定し、菅総理が記者会見を行う方針だ。

 緊急事態宣言の“延長”が人々にもたらす心理的な影響について、臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は「1カ月という単位がどういう根拠なのか、具体的な見通しがいまいちわからない中で、『いつまで続けなければいけないのか』という終わりが見えない不安がある。もちろん、『緊急事態宣言の結果、感染者が減った』という因果関係は推測される。しかし2度の緊急事態宣言で“何がどう変わって感染者数が減ったのか”という因果関係の過程の部分、特に心理・行動的な分析がきちんとなされていない。もう1カ月自粛を続けていくことに対して、『なんとなく効果はあるのはわかるし、自粛は続けるけどモチベーションが伴わない』という気持ちになる可能性がある」と指摘する。

「緊急事態宣言で何がどう変わって感染者数が減ったのかという因果関係の分析を」 “なんとなく”の延長ではモチベーション維持しにくく?
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 また、コロナ禍が長く続くことで、向き合い方が二極化してきていると分析。「基本的なことを守って感染拡大予防に努める人と、一方でそんなに気にしていない人がいる。後者のような人に情報を届けようとしても中々届かない、『そういう人は、しょうがない』というだけではダメで、調査票を使った調査やインタビューなどで感染者の心理・行動的な実像をよく見て、そしてターゲットを絞って効果的な対策を考えていかないと、努力を続けている人々や特に苦しい立場に置かれている飲食業の方々は自粛のモチベーションが伴わないと思う」と述べた。

 世界ではワクチン接種が広まりつつあり、日本も米ファイザー社などと3億1400万回分(1億5700万人分)を契約済みだ。一方で、ワクチンの供給体制に対する懸念もある。藤井氏は「ワクチンの効果はあると思うが、いつ、どれだけの範囲まで打つことができるのかはっきりしない中で、ワクチンだけを心の頼りにしていてもなかなか難しい。僕のカウンセリングに来られた方の話で、コロナ禍の自粛に慣れてしまって、それが元に戻ることへの不安があるという方も増えてきている。元に戻るにしても自粛が続くにしても、変化が積み重なることが人にとっては大きなストレスになるので、特に社会生活のスタイル変更は長期的なスパンで考えつつ、収束を待つのが良いと思う」と述べた。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

「腫れもなく」ワクチン接種した医師
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