「コンピューター」といえば、一般的にイメージできるのは箱型のパソコン。しかし、今では手のひらに収まるほど小型化が進み、スマートフォンのように、生活に溶け込んでいる。
大阪大学の三浦典之教授は、コンピューターの“究極的な姿”の研究を進めている。
「人間に負荷なく飲み込んで、体の中の状態を見るということがもしかしたらできるかもしれない。それが1つのアウトプットとしてありえるかなと。ちっちゃいセンサー、ちっちゃいコンピュータを作れば、そういったことができるようになるんじゃないかなと思う」
【映像】三浦教授が開発中の「粉末コンピューター」(拡大図あり)
ニュース番組「ABEMAヒルズ」では、三浦教授が現在開発中の半導体チップの試作品を特別に見せてもらった。指の先にかろうじて確認できるほどの小ささだ。三浦教授が目指しているのは、この10分の1である0.1ミリまでの小型化。「粉末コンピューター」と称するサイズが実現すれば、どのようなことが可能になるのだろうか。
「例えば、計測器は大型のものがけっこうある。特に僕が気になっているのは、MRI。人間の心を理解しようと思ったら、すごく大きな脳の計測装置であるMRIを使っている。でも、MRIで図っているときの人の気持ちって、本当に普通の日常のものなのだろうか。到底そうは思えない。だから、(粉末コンピューターが)そういったものに代わるような、気持ちに全く外乱を与えないような形で体の状態を計測するものが作れないだろうかと考えている」
計測器であることがわからなければ、精神的な負担も少なく、体の状態を調べられる。「子供や乳幼児もわからないほど小さな装置であれば、抵抗がなくなるのではないか」と三浦教授は話す。
いつか、三浦教授が言うように「粉末コンピューター」が実現し、人が負荷なく飲み込んで体の中の状態が見られる日が来るかもしれない――。ニュース番組「ABEMAヒルズ」に出演したアプリクリエイターの関口舞氏は「近い将来、検査のために採血をしたり、胃カメラを飲んだりといったことをしなくてよくなるのではないか」と期待を示す。
「スマートフォンアプリと連動して、臓器の健康状態などに問題がないか、モニタリングできるといい。不調時にアラートが出るよう設定できれば、病気の早期発見につながる。いつか未来で『令和の人たちは(胃を調べるために)カメラを飲んでいたらしいよ』と言われるかもしれない」(関口舞氏)
その上でセキュリティ面の課題として「粉末コンピューターで集積した情報が、どこでどのように扱われるのか、丁寧に考えていく必要がある」とコメント。「自分の医療データを製薬会社などに任意で売ったり、預けたりできる時代が来るかもしれない」と予測した。
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)