不屈の戦いをもう一度 稲葉陽八段「経験値、若さ、バランスを組み合わせる」ドラフト戦略/将棋・ABEMAトーナメント
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 あの不屈の戦いが、また見られる。プロ将棋界の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」に、昨年もリーダーとして参加した稲葉陽八段(32)が、今回も参戦。最強チームを作るべく、ドラフト会議にも参加する。昨年実感したのは、早指しで有利とされる若手の勢いよりも、むしろ百戦錬磨のベテランの底力。「ある程度、経験値、若さ、うまくバランスを組み合わせたい」と、より実戦的な布を想定している。

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 前回大会は、山崎隆之八段(40)、佐々木大地五段(25)とチームを組んだ。チーム名は「Invictus(インビクタス=不屈)」。予選ではいきなり連敗スタートから始まったが、そこから怒涛の巻き返し。惜しくも予選敗退はしたものの、最後まで諦めないその戦いぶりがファンの心を揺さぶった。

 今回の大会では、前回の経験を大いに活かす。「(前回)フィッシャールールは私自身、指すのが初めてだったんですけど、持ち時間がかなり短いので若い人が有利だと思っていましたし、実際に指してみてもそういう風に感じたんですが、団体戦が特殊な状況でした」と、3人1組になることで、また違う何かが必要だった。「個人戦と違うプレッシャーを感じました。実績を残された先輩方は、本当にプレッシャーのかかる一番というのは、本来の力を発揮されている。逆に若手は弱いところがあるというか、フィッシャールール自体は強いんですけど、独特の緊張感の中で普段どおりの力を発揮されたのは先輩方だった」と、トップ棋士こそ持つ勝負強さを改めて肌で感じた。

 その勝負強さは、緊迫した場面でさらに真価を発揮する。「チームメイトが勝って帰ってくるか、負けて帰ってくるかによって、対局が始まる前から心理状態が違う。個人戦では経験したことがないことです。チームメイトが負けてきても踏ん張れるのは、実績を残された先輩方が多かったので、やっぱりさすがだなと。経験値が違うと思いました」と、メンタルが超早指し団体戦の結果を大きく左右するとも語った。

 こんな経験があったからこそ、「経験値と若さ」というバランスを取ったチーム編成を考えた。そうなると、年齢層にも幅の出る指名が考えられる。前回は藤井聡太王位・棋聖(18)といった大本命の1巡目候補がいたが、今年はいない。「誰が選ばれてもおかしくない。チーム数が増えていますので、競合する可能性も増えています」と、様々なパターンも想定済みだ。

 決して折れない心は、今も変わらない。ただ今回はもっとアグレッシブに、アドバンテージを持った稲葉八段の戦いも見たいのがファンの気持ちだ。「独特なルールでスリリングな戦いになると思うんですが、私自身もうまく力を発揮して、チーム全体としても発揮して、上を目指していければいいなと思います」。頼もしい仲間とともに、目指すは頂点だ。

◆第4回ABEMAトーナメント 前回までは「AbemaTVトーナメント」として開催。第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦になった。チームはドラフト会議により決定。リーダー棋士が2人ずつ順番に指名、重複した場合はくじ引きで決定する。第3回は12チームが参加し永瀬拓矢王座、藤井聡太王位・棋聖、増田康宏六段のチームが優勝、賞金1000万円を獲得した。第4回は全15チームが参加。14チームは前年同様にドラフトで決定。15チーム目はドラフトから漏れた棋士によるトーナメントを開催、上位3人がチームを結成する。対局のルールは持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チーム同士の対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負に変更された。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。

 [ドラフト会議3/27開催!]稲葉陽八段インタビュー
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