「タイミングが最悪」アメリカでは反響も…イギリス人はヘンリー王子夫妻に興味ナシどころか否定的?
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 「私が妊娠中に(生まれてくる子供に)警護が与えられない。称号が与えられない。そして彼が生まれたときに肌の色がどれだけ濃いかへの懸念の話があった」。

 アメリカの著名司会者、オプラ・ウィンフリー氏の番組でそう語った、ヘンリー王子とアフリカ系アメリカ人を母に持つメーガン妃。イギリスのインディペンデント紙(8日付)は「ヘンリーとメーガンのインタビューは最高の復讐だ」と報道、テニスプレイヤーでメーガン妃の親友であるセリーナ・ウィリアムズ選手は、彼女を支持するツイートをしている。

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 今回のインタビュー番組について、ロンドン在住の著述家である谷本真由美氏は「イギリスではITVという放送局で放送されたが、視聴者は700万人だった。放映権に7000万円を払っていて、儲けは出ているものの予想以上に少なかった」と話す。

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 「1995年にダイアナ妃のインタビューが放送された時には2300万人だったが、ワールドカップ2018のセミファイナルの2600万人に比べれば少ない。他のメディアもコロナ以外にネタがないので、今回のインタビューのネタばかりだが、やはりコロナが大変なので、注目度はアメリカよりもかなり低いと思う。王室のことなどに構っていられないという雰囲気だ。

 加えて、イギリス人にとって王室というのは“out of touch”な存在で、彼らが何をしてようと、どういう意識でいようとも、“もうしょうがない”という感覚がある。特に女王陛下やフィリップ殿下はお年寄りなので、口が滑って酷いこと言ってしまうこともある。しかし、“お年寄りだし、しょうがないね”という意識。王室にはあまり興味がなく、エンターテイメントと言っていて見世物だ」。

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 さらに国民の全体的な論調はアメリカとは異なり、王子夫妻に対して「非常に批判的」だという。

 「もともと厳しい見方をされていたということもあるが、やはりタイミングが最悪だ。コロナの死者が12万人を超え、失業者も大量に出ている。GDPはマイナス10%と、経済は第二次世界大戦以来最悪の落ち込みだ。加えてエリザベス女王の夫・フィリップ殿下が心臓の病気で手術を受けて入院していらっしゃる。イギリスには病気の人を困らせてはならないという考え方が強く、おじいさんがそんな状況なのにゴシップ的なインタビューに応じて…ということだ。

 そして、そもそもイギリス王室の人たちが何か活動をする時、特にメディアに対応する場合は無償というのが前提だ。にも関わらず彼らはNetflixに出たり、SpotifyでPodcastを流したりして、すでに30億円ものお金を得ている。ダイアナ妃の遺産など21億円の資産も運用しているし、結婚後にチャールズ皇太子から1年間で7.5億円のお金を受け取っている。さらに夫妻は今回のインタビューで7億円ももらっている」。

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 今回のインタビューについての感想を問われた父・チャールズ皇太子は無言で立ち去るも、その後、祖母であるエリザベス女王が声明を発表。「夫妻の苦難を知り家族全員が悲しんでいる」としたうえで、メーガン妃の長男の肌の色をめぐる懸念について「真剣に受け止め、家族内で対処する」と表明している。しかし谷本氏はこの声明について「拝見してゾッとした」と話す。

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 「イギリスというのはヨーロッパにおける“京都”だ。その旧家というか、非常に保守的なご家庭なので、この声明の行間にも様々な意味が含まれている。例えば、“the full extent of how challenging”という一文には皮肉が混じっているし、“particularly that of race, are concerning”と、“concerning”という単語が使われていて、私は“わっ!”と思った。それから“will be addressed by the family privately”という一文には、“なぜ今このタイミングで家族の問題について外で大騒ぎするのか”という女王陛下と王室が怒っているということが滲み出ている。

 イギリス王室が伝統を保とうとするのは、国民が“観光資源”になると望んでいるから、という面もある。バッキンガム宮殿などの観光施設の一番のお客様は、実はアメリカ人だし、王室のゴシップが人気があるのもアメリカだ。『ダウントン・アビー』という貴族のドラマの人気があったのもアメリカだ。伝統的なもの、古くさいもの、保守的なものにお金を落としてくれるので、ということだ」。

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 アメリカ出身のパックンは「もちろんアメリカでも保守派かリベラル派によって反応が全く違う。保守派は歴史ある王室を傷つけようとしているメーガン妃が悪い、という論調だし、西洋人は有色人種に対する過去を顧みなければならないというのがリベラル派の論調だ。2人のしたことは確かにちょっと下品だし、お金目的だと批判されても仕方ないと思うが、黒人の人権を訴えるBLM(ブラック・ライヴズ・マター)運動の延長線上にある出来事でもある。イギリスは有色人種の国家を侵略してきた歴史があるし、王室の中に差別主義者がいないかと言えば、そんなことはないと思う。実際、フィリップ殿下の差別的な発言も報じられているし、そういうことへの反省はあっていいと思う。

 そしてアメリカ人としては、正直そういうことを考えたくないからイギリスから独立したんだという気持ちがあるし、家族の争いごとがみんなの中心ごとになるのは国民として格好悪い。4年で大統領が交代するアメリカにはこういうことがないから良いなと思う」とコメント。

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 慶應義塾大学特別招聘教授でドワンゴ社長の夏野剛氏は「どこの国の王室にも、時代を反映した出来事が起こる。イギリスはヨーロッパの中でも移民が多く、有色人種も多い。そういう意味では、“イギリス人”という概念が崩れてきているのだと思う。こういう問題提起があること自体はいいことだし、じゃあ日本の皇室の女性が黒人男性と結婚したいと言ったら自分はどう考えるのか、そういうことを想像してみる機会になるのではないか」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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