自然が生んだクローン? “双生児”の謎 双子ユニット・みことね「友達がずっと横にいる感覚」
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 イギリス・オックスフォード大学をはじめとする研究チームは今月、世界における双子の出生数が過去最多になったと発表した。

 ネットでもYouTubeやTikTokで、双子の投稿を見かけるようになった。双子ゆえの不思議なシンクロは人気を集めている。

 TikTokのフォロワー数35万人、一卵性双生児の17歳JK、ひかはる(ひかりさん・はるかさん)は「双子ダンスがすごく流行っていたから、2人で撮ってみようと思った。揃おうとしなくても揃っちゃう。動作が合っちゃう」と話す。しかし、内面について、ひかりさんは「友達は『全然違う』と言っていた。お互いに欲しいものも違う」と告白。髪を早く伸ばすための美容液が欲しかったひかりさん。すると、はるかさんは「髪は伸びるもんだからいらないよ」と答えたという。

【映像】双子女子高生“ひかはる” 動作がシンクロしすぎな「双子ダンス」動画

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 お姉さん系の一卵性双生児のひうら姉妹(舞花さん・結花さん)は「私たちは、顔をメイクで寄せている」と話す。顔は動画用にメイクで寄せていても性格は、舞花さんがマイペースで、結花さんがせっかちだという。「一卵性の双子だから全く同じだと言われるのは嫌か」と聞くと、お互いに「嫌ですね」と声を揃えた。

 どうやら一卵性だからといって、全てが同じわけではないようだ。双子研究の第一人者の慶應義塾大学教授の安藤寿康氏は、一卵性双生児は「遺伝的には同一人物」と説明する。

「一卵性双生児は1つの受精卵、父親と母親の遺伝子が一緒になって、一人分の遺伝情報を持っている。そのまま2つに別れたから、遺伝的には同一人物だ。自然が生んだクローンと言っていい。それに対して、二卵性双生児は元々2つある卵子に別々の精子がほぼ同時に受精したもの。普通の兄弟と同じで、2人が同時に生まれる。基本的には、一卵性双生児の遺伝子は100%同じ、二卵性双生児は50%が同じだ」

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「一卵性双生児がなぜ生まれるのか、まだ全然わかっていない。一卵性双生児の出生率は万国共通。1000回ある出産の中で4回程度が一卵性双生児。人種の差がない。白人であろうが黒人であろうが、黄色人種だろうが変わらない」

 ニュース番組『ABEMA Prime』には、シンメトリー動画がネットで話題を集めている19歳の双子・みことね(美琴さん・琴音さん)が生出演。

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 みことねの2人に“双子あるある”を聞くと、美琴さんは「双子同士で『テレパシーは使えるの?』とよく聞かれるが、人間なので使えるわけがない」と苦笑い。琴音さんも「ずっと一緒にいるので、片方が他の人と話しているときに『今こういうふうに感じているだろうな』は、なんとなくわかることがある。でも、テレパシーは使えない」と話す。

 成人した双子200人に行った「双子の発言一致率の調査」では、一卵性双生児で27%、二卵性双生児で25%という結果だった。差はあまりないようだ。この調査結果に安藤氏も「意外だった」という。

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「過去、一卵性双生児に別々に部屋入ってもらい、同じような状況を作ると同じ行動が出やすく、二卵性双生児に同様の調査をやると、それほど同じにならないという研究結果があった。この調査でもはっきり差が出ると思っていたが、二卵性双生児でも同時に同じことを言う事例が報告された。客観的には、多くの心理学的な研究で双子の実験をやると、明らかに一卵性の方が二卵性より類似性が高くなる」

 二卵性双生児でも同時に同じ発言をする――これに安藤氏は生活環境の共有や記憶が影響しているのではないかと話す。

「仲のいい夫婦のように、長く生活していると、赤の他人だとしてもだんだん同じ場面で同じ言葉がシンクロして出てくる。程度問題として、必ずと言っていいほど、長い生活環境の共有、同じような記憶を持っていることが関係しているのだろう」

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 スマートフォンなどには、持ち主を自動的に識別する“顔認証システム”が導入されているが、機械に一卵性双生児の見分けはつくのだろうか。この疑問に、みことねの二人は「全然できる」と回答。琴音さんは「自分のスマホか美琴のスマホか分からなくても、手に取ったとき、普通に(ロックが)開ける。中をちょっと触るまで、自分のスマホと思い込んでいたことがある」と実際にあったエピソードを明かした。

 ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「双子であることを利用して悪さをしたことはあるか?」とみことねの二人に質問。二人は「ある」と声を揃えた。

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 琴音さんは「中学校の時にクラスのみんなに『とりあえず1回でいいから入れ替わってみて』と言われた」といい、「帰りのホームルームで入れ替わった。バレなかったが、姉の美琴の方が『美琴』と教室で自分の名前を言ってしまい、『あれ? 美琴』となってバレた」と告白。美琴さんは「初対面だと間違われることが多いが、ずっと一緒にいる友だちは『全然違う』『声を聞くだけでも違うってわかる』と言う」と、長い時間を共有した友人などは、違いがはっきりわかっているという。

 みことねの二人はお互いの性格も「かなり違う」といい、美琴さんは「姉の私は、どちらかというとマイペース。妹の琴音がせっかち」とコメント。琴音さんは「(美琴さんが)マイペースすぎるので、私がお母さんのようになっちゃった」という。

 「小さい頃は2人で1つというのがとりあえず嫌で、何でもかんでも2人で1つ分けてと言われるのがすごく嫌だった」と話す琴音さん。「大きくなってからは、初対面の人に名前を間違えられることも多いが、もう慣れているので、全然傷つかない」と成長するにつれ、心境に変化が生まれた。

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 生まれが一緒だから似るのか、育ちが一緒だから似るのか。「エピジェネティクス(後天的遺伝)」とは「DNAのスイッチのような部分が切り替えられ、遺伝子の働きが変化する」という考え方だ。ただし、双子の個性に関係するエピジェネティクスは、まだ解明されていない。前述の安藤氏は「エピジェネティクスは考え方ではなく、一つの現象だ」と指摘する。

「遺伝子生物学が発達して、遺伝子の配列がわかった。今は、遺伝子がどのように活動するのかが関心の的になっている。遺伝子は、生まれるときに全部を出し切っているわけではない。スイッチのオンオフがDNAの塩基配列にあり、ある部分のスイッチはオンに、ある部分はオフになる。そこに化学的な飾りがついたり、離れたりする。それによって、スイッチのオンオフができ上がる。一卵性の双子は、遺伝子の配列は全部同じだ。しかし、二人の間に違いが安定して出てくると、遺伝子そのものは同じでも、どこかがオンになり、どこかがオフになってくる。そこに違いがあるのではないかと思う」

 安藤氏の解説を聞いたひろゆき氏は「性格も遺伝で決まってしまうのか?」と質問。安藤氏は「決まるという言葉は強すぎる」とした上で「誤解を招きやすいが、あえて数値化すると一卵性で50%ぐらいの類似だ。逆にいうと環境で変わる部分も50%ぐらいあるということ。二卵性は25%ぐらいしか同じにならない。その程度の差がある」と答えた。

■ 双子は楽しい? 暇な時間は二人で料理、映画鑑賞も


 去年から日本でも深刻な問題になっている新型コロナウイルスの感染拡大。双子の家庭では、生活にどのような変化があったのだろうか。番組の調査では双子・三つ子の親は子育てのストレスが増加し、逆に子供は「楽しい」という結果が出た。
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 この結果に、みことねの2人は「間違いない。(双子は)楽しい」と声を揃える。

 琴音さんは「家で『暇だな』と感じている人は多いと思うが、二人いると『暇だからじゃあ二人で料理を作ろう』とか『二人で映画を見よう』など、そういう過ごし方ができる。楽しいと感じることは多い」と話した。

 美琴さんも「きょうだいだと、行動範囲がバラバラになることも多い。双子だと基本的には、同学年で同じ学校に通う。学校から帰って、お母さんが仕事に行っている間に『ご飯を作ろう』となると、二人で楽しく作れる。生活している上で、友達がずっと横にいる感覚に近い」と語った。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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