高性能AIが示す完勝の足跡 19連勝中の藤井聡太王位・棋聖が描き続ける「藤井曲線」に注目集まる
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 昨年10月末から続く快進撃が、ついに19連勝まで伸びた。将棋藤井聡太王位・棋聖(18)は4月16日の竜王戦2組ランキング戦決勝で勝利。史上初の5期連続優勝を果たし、初の竜王挑戦に向けてさらに弾みをつけた。八代弥七段(27)との対戦は、お互いの地力が試される持久戦だったが、八代七段が「気がついたら悪くなっていた」と振り返るように、序盤・中盤・終盤と進むにつれて、少しずつ、ただ確実に藤井王位・棋聖がリードを広げるという、危なげなくも力強い勝ち方だった。この完勝ぶりを示したのが形勢を判断するAI(将棋ソフト)。緩やかでも、大きくブレることなく勝利にだけ向かっていく様子に、ファンや関係者の注目が集まり出している。

【動画】将棋AIに見られる完勝の「藤井曲線」

 「藤井曲線」。これが、天才棋士の完勝を表現する言葉だ。由来は、ABEMAの放送対局時に採用されている「SHOGI AI」から。業界では初めて、形勢を勝率(パーセント)で判断し表示したものだが、藤井王位・棋聖が連勝街道をひた走る間、このグラフは何度も八代七段戦の時と同じように、じわじわと99%(即詰み・必至級)に近づいていった。時に「AI超え」と呼ばれるような派手な一手で、劇的な逆転勝ちを収めることが話題になるが、むしろこの緩やかな勝利への曲線こそが、最年少でタイトル二冠を誇る棋士のすごさを物語っている。

 急に形勢が変化するのではなく、少しずつ変わるため、対戦相手としても悪くなっている実感はない。敗れた後、八代七段の「気がついたら…」というような言葉を感想戦で口にする棋士は少なくない。パッと見では見えない、もしくは相当に深く考えたとてわからない微差を、藤井王位・棋聖は感じ取っている可能性がある。解説を務めていた棋士からは「最善手と次善手、いずれ合流するかもしれないが、藤井さんは最善手を指す」という意見もあった。勝率にして1%か2%の差。その微差の意味を理解し、序盤から惜しみなく持ち時間を使い熟考し、選択する。この小さな積み重ねを数十手分繰り返すと、大事な終盤を迎えた時には大勢が決している。1手によって勝率が乱高下するような隙もない、完全なる勝利だ。

 相撲の世界には「横綱相撲」という言葉がある。まずは堂々と相手の力士を立ち合いで正面から受け止める。その上で体力、技術で圧倒しながら、反撃の機会を与えず寄り、押し、あるいは投げて勝負をつける。そこにはわずかの危なげもなく、勝利が必然だったかのような、ある種のあっけなさも残る。藤井王位・棋聖の勝利に、これと似た感覚を覚えるファンも増えている。これをグラフにして見せたものが「藤井曲線」と言えよう。次戦、藤井王位・棋聖はどんな曲線を描くのか。また新たな楽しみ方が発見された。

(ABEMA/将棋チャンネルより)

藤井聡太王位・棋聖、史上初5期連続優勝!
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第4回ABEMAトーナメント 予選Aリーグ 第二試合 チーム藤井VSチーム三浦
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