画面の前に座り込む1匹の猿。名前は「ペイジャー」だ。ペイジャーは、すぐに右手でスティックを操作し始める。
 ペイジャーが繰り返しているのは、スティックを操作し、カーソルをオレンジ色の四角の中に入れる動作だ。成功すれば、くわえているストローからバナナスムージーが供給される仕組みで、その“ご褒美”を得るためにペイジャーはひたすらオレンジ色の四角に向けて、スティックを操作し続けている。
 これは実業家のイーロン・マスク氏が経営するアメリカのスタートアップ企業「ニューラリンク」が公開した動画だ。動画で紹介された実験は、非常に賢い猿の特技を披露しているだけではない。実はペイジャーの脳にはチップが埋め込まれていて、2000本以上の小さな電極を通し、スティックを操作しているときの脳の活動を記録。情報はチップからBluetoothによってコンピューターに送られ、スティックの動きと脳の活動の関係をモデル化している。