負けてもなお、その評価の高さがわかるひと言だ。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」の予選Aリーグ・第2試合、チーム藤井とチーム三浦の対戦が4月17日に放送されたが、チーム藤井の伊藤匠四段(18)が、チーム三浦の高野智史五段(27)に敗れ、今大会初黒星。この結果に、伊藤四段の強さをよく知る三浦弘行九段(47)が「たっくん(伊藤四段の愛称)でも負けることがあるんだ…」とつぶやくシーンが生まれた。
ドラフト会議で藤井聡太王位・棋聖(18)から1巡目指名を受け、大会初出場を決めた伊藤四段。昨年10月にプロデビューした新四段で、今後の活躍期待される10代棋士だ。この若手棋士、実は昨年に三浦九段、高野五段、本田奎五段(23)の3人によるチーム三浦の練習パートナーを務めており、持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールにおいては、大会に出ていた3人よりも強かったというエピソードがあった。
前年と同じメンバーで臨むことになったチーム三浦にとって、伊藤四段は昨年、本戦まで勝ち進むことにつながった恩人であるとともに、今年においては最大の敵。対戦した高野五段も、その強さを知るだけにかなりの気迫を持って戦い、なんとか勝利を収めた。また伊藤四段本人も「高野五段は迫力を普段より感じました」とこぼした。
ただし、そのままで終わらないのが後に“藤井世代”と呼ばれるようになるかもしれない期待の棋士。高野五段と再戦すると、熱戦に競り勝ち。連敗を免れるとともに、チーム三浦戦の勝利を決める大きな1勝とした。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)