「前向きな情報を発信することも必要だ」減少が続くキャリア官僚志望者、“ブラックな働き方”以外の側面にも注目を
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 人事院は16日、「キャリア官僚」志望者が5年連続で減少したことを発表した。14.5%という減少幅は過去最大で、背景にあるとみられるのが、一向に進まない“働き方改革”だ。20代の離職者も増加の一途をたどっており、2019年度は2013年の4倍以上に達している。

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 公務員制度改革も担当する河野太郎行革相は昨年12月、20代のキャリア官僚の約3割が月80時間の過労死ラインを超えていたとの調査結果を公表。さらにサービス残業が常態化していると指摘、「それらが無いかのように建前でふるまうことはもはや許されない」と訴えた。

 19日の『ABEMA Prime』では、現役の若手官僚と、退官して別の道を歩んでいる元若手官僚に話を聞いた。

■前向きな話をすることも必要だ

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 現役官僚の鈴木さん(仮名)は「私の同期にも辞めた方がいる。魅力を感じにくい仕事も多く、そこに気づけないまま辞めてしまうのはもったいないなと思いつつも、英断だなという印象もある」と話す。

 「省庁、部署、個人によって案件の多寡があるので、全員が常に大変というわけではないが、例えば朝に撒いた依頼事項の確認が昼に返ってくるが、その量によっては集約に時間がかかるので、ずるずると遅くなってしまうことがある。あるいは上の人などに説明するときに“紙で見せて”と言われるのが辛いな、というのはある。タブレットで持って行くこともできるが、新旧(変更箇所)を見比べたりとか、ページをジャンプしたりするときには、やっぱり紙の方が見やすいというのも事実なので…。

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 そして、自分がやったことが国民に本当に届いているかどうか、わからないことが多い。たとえば霞が関で法律の一文を変えたことで、自分の生活がどう変わるのか、ということだ。しかし、その文章にものすごくこだわる人もいるので、揉めたりする。そういうところで、やりがいを感じにくいということもある。実は私の妻も官僚だったが、民間企業に努めている。民間は人を増やすことで利益に繋がることもあるが、我々は利益を出せないということが縛りになってしまう」。

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 その上で鈴木さんは「情報を発信している官僚の側にも問題があると思う。前向きな話をすることも必要だ」と指摘する。

 「会議の資料を作って印刷したり、有識者の方々にアポイントを取ったりする“ロジ”が仕事の大きな部分を占めていた。そのあたりがオンライン化されてきたことで、働き方がスマートなってきたかなと思うこともある。部署も人も、時期によっては仕事量にかなりバラつきがあるので、流動的な配置換えをできるようにすればいいのではないか。

 また、すばらしい上司の方、話が上手い上司の方もたくさんいる。法律の条文を変えたからといって何になるんだという話をしたが、それが国民にどのように良い影響を及ぼすのか、とてもうまく説明をしてくれる。それを聞いていると、なるほど、自分はこんなにいいことをしているんだと感じられることもある。上の方々が未来について明るく喋っている姿も、もっと取り上げられてもいいのではないか」。

■ここからは業務の効率化や増員の議論を

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 厚労省に5年勤務し退官した元キャリア官僚のおもちさん(ペンネーム)は「シンプルに魅力が劣ってきているということだ。良い点を伝えるということだけでなく、悪い点をいかに減らしていくかも必要だ」と指摘する。

 「厚労省の場合、恒常的に人手が足りず、提案をするよりも仕事をどうにかこなすという“受け身”になってしまっているところがある。特にコロナ禍によって、それまでの仕事量を100とすると150くらいになっている。厚労省を辞めた人も現場に応援に行かないと回らなくなっていたり、コロナ本部に人を送り込んだりということもある。

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 最近では法律の条文のミスが取り沙汰されていたが、国民への影響を考えれば、確かに完璧にしておく必要があったはずだ、というミスもあった。一方で、段落が一字下がっていたかどうか、あるいは参考資料の方まで完璧にするためにリソースを割くというのは、官僚たちの才能を活かすというより、殺しているのではないかと思う。国会議員も、これを“気の緩みだ”と言うだけではなく、ちゃんと人は足りているのかを見て欲しいが、票にならなければ動かない。そこは世論にも動いて欲しい。

 一方で、今までは残業時間などが可視化されていなかった。それが見えてきた結果、6500人ほどが過労死ラインを越えているというデータも出てきた。次のステップとして、優先順位が低いものをなくすとか、効率化をするとか、人を増やすのかを考えなければならない。定員合理化計画といって、5年間で10%の人員を減らして欲しいという計画もあるが、これを一度フラットにして、業務の実態に合わせて配分していくというようなことも必要だと思う」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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