飲食店の時短営業やアルコール提供禁止「科学的な根拠は薄い」 米国で研究員を務める峰宗太郎医師
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 ゴールデンウィークを前に、「要は“東京から出ないでください、東京にもいらっしゃらないでください”ということを申し上げている」「路上飲みだが、絶対にやめていただきたい。バーベキュー、キャンプなどの野外レジャー、ホームパーティー、レンタルスペースでの飲み会などもぜひとも控えていただきたい」と発言した小池都知事。また、変異型ウイルスの感染拡大を念頭に、「緊急事態宣言を長引かせないためにも、ぜひ今は我慢、このことをお願いしたい」と訴えた西村経済再生担当大臣。

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 コロナ対策のために、行政から度々繰り返されてきた“お願い”。憲法記念日にあたって、より強制力を伴う法整備や、憲法への“緊急事態条項”の追加を求める声が少なくないことも明らかになってきた。

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 グローバルダイニング社の訴訟で原告側代理人も務める倉持麟太郎弁護士は「そもそも西村大臣は先月の国会で、“今回の緊急事態宣言は予防的なものだ”というような発言をされているが、政府が設定した“ステージ4”になっていなくても予防的に発出する、というような運用は認められていなかったはずだ。法的に非常に問題があることだし、基準もよく分からなくなってきている。規制の強化にあたっては、必要性を満たす事実がどれほどあったのか、より制限的でない手段はないのかがまず検証されるべきだ。例えば、どれだけのクラスターが外で発生したのか。クラスターそのものについても、どれほどの規模のもの、どれくらい死亡者が出たものをそう呼ぶのか」と指摘する。

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 「一連のコロナ対策によって生まれた弱者もいっぱいいる。子どもたちの問題もそうだし、DVが増えたという話もある。国家は要請ベースで我々の行動変容を調達しようとするばかりで、責任を取らない。しかし僕たち法律家としても“だって従ったあなたが悪い”となるので訴えることができない。廃業する、ホームレスになる、自殺するというような話が出てきたらどうするのか、という議論がなさすぎると思う。

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 一方で、すでに緊急事態宣言が発出されている以上、今以上の事態になっても取れる手段はもうない。だからこそ緊急事態条項を憲法に書き込むべきだというような意見が世論調査にも出てきているのだと思う。ただ、今回のことで露わになったのは、僕たちは初等教育の頃から、我々は近代的で、最先端の権利、自由が書いてある良い憲法を持っている、と教わってきたが、社会はそれらを大事にしてきたのだろうか、ということ。実際、有事になれば、みんな差し出してしまったじゃないか。例えば“大学の自治”と言ってきたのに、教育を受ける権利があるにも関わらず、キャンパスを閉めてしまった」。

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 ジャーナリストの堀潤氏は「例えばニュージーランドでは個人の行動に関する記録などを社会で共有するところまで許容した。僕がニュージーランドの方に“感染経路がどんどん公表されていく状況を許したのか”と聞いてみると、“それはある程度仕方がないことだ”と言われた。アメリカでもそこまではできないので、ロックダウンによって街を止めた。つまり、強権の振るい方にも違いがあると思う。日本では“それは何が根拠?”と言ってしまうような状況が続いているが、同時に個人の自由や権利、公共の福祉との兼ね合いはどうなのか、あるいはどこまで個人がデータを差し出すのか、差し出さないのかという議論もすべきだと思う」と疑問を呈する。

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 米国立の研究機関で研究員を務める峰宗太郎医師は「アメリカやイギリスでは、ニュージーランドや台湾、中国、韓国、日本のような“コンタクト・トレーシング”ができていなかった。一つには、誰が感染しているのか、誰が検査したかも追えないくらいの大混乱が続いていたということもある。その意味では、東南アジア諸国の方がしっかりと把握していたということだ。ニュージーランドや台湾、シンガポールのように、個人情報も含め私権を制限しても感染を抑えるという方法をとった国と、アメリカのように細かいことができないから、街全体をロックダウンしようという方法をとった国とに分かれたのだと思う」と説明。

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 その上で、「飲食店の時短やアルコール提供禁止については、はっきり言って科学的な根拠はないと思う。外国で主に飲食店に対して取られている措置は、テイクアウトや屋外だけでの営業にさせたり、店ごとに収容人数の制限を決めたりして、人が集まる状況を避けるという、科学的な考え方から導き出された方法だ。時短営業についても、あくまでも人が集まる場所を減らすというところから考えられている。

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相手がウイルスである以上、いかに効果的に対策を打てたかということが効いてくる。例えばニュージーランド、台湾、中国のように強権的な方法によって抑え込みに成功している国もあれば、アメリカやイギリスのように日本よりも遥かに強い規制を敷いたにも関わらず日本よりも遥かに多い死者数を出している国もある。ここから分かることは、日本においては法的枠組みや命令の効果よりも、各人が感染予防を徹底していただいてきたことの効果が大きいということだ。科学的根拠によく注目して、日本の良いところをより伸ばしていくということも必要だ」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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