「紛失防止タグ」で住所特定ができてしまう可能性…差し入れ停止を決めたライバー会社社長「ぬいぐるみに仕込まれるとわからない」
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 「本日よりライバーへの差し入れを受付停止いたします。理由は『紛失防止タグ』等を使った当社独自のセキュリティテストの結果により、弊社ライバーのプライバシーが漏洩する可能性が高いと判断したためです」

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 差し入れの受け入れ停止を発表したのは、VTuber専門プロダクションの「LiverCity」だ。事務所に送られてくるファンの差し入れから、所属するライバー(配信者)のプライバシーが漏洩する可能性があると判断したことが理由だという。『ABEMAヒルズ』の取材にLiverCityの山本浩成社長は次のように話す。

 「個人的に紛失防止タグを買ったんですけど、めちゃくちゃ精度がよくて便利で。でもちょっと待って『うちのライバーの特定に使えてしまわない?』ということで、社員を使って家に持って帰ってもらった。いろんなアラームが出るので、途中で気づいたら教えてほしいと。結局、自宅についた時スマホに『自分のものではないタグが入っています』という警告が出てやっと気づいたんだけど、その時点で僕の方では家がわかっていた。僕のスマホでタグを検索すると社員の家が出ているわけですね」

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 鍵や財布、カバンなど、大切なアイテムにつけておけば万が一の時に役立つ紛失防止タグ。しかし、これを差し入れに忍び込ませる人がいた場合、家に持ち帰ったライバーの住所などが特定される恐れがあることに気づいた山本社長。実験は5人に行ったという。

 「途中でタグ本体のアラームが鳴ったことに気付いたという人がいて、その場合は経路で発覚したというのは1件ありましたけど、あとはみんな気づかなかったです。一応、『僕がどこに隠すかは内緒。でも隠すから』と言って持って帰ってもらったんですけど」

 悪用を防ぐため、紛失防止タグには本来の持ち主ではない人がタグを持っていると判断した場合、アラームで教えてくれる機能などがあるが、実験の結果、自宅に着くまで気が付かなかったケースが多かったという。今のところ実害が出たわけではないものの、現時点で対策が見つからないため差し入れの停止を決断したということだ。

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 「自分で作ったものを送るという方もいらっしゃるので、その経路で例えばぬいぐるみの中に仕込まれちゃうとまずわからないなと。梱包材に仕込まれている説もあって、白い発泡剤のような中に入れられていたら音もほとんど出なくなるし本当にわからない」

 スマホか何かで仕込まれた紛失防止タグの信号が捉えられれば再開してもいいとはなす山本社長。ライバーへの応援は気持ちだけでも十分伝わると話した。

 「うちのライバーさんは、お金目的でやっている人って意外にいないんですよ。本当に応援してもらって、自分が輝ける舞台が欲しいという子が多い。気持ちは本当にありがたいんですけど、配信でコメントしてくれたりが一番彼女らが喜ぶので、それをしていただくだけでも十分伝わりますよと。物を送らなくても、コメントとかTwitterのリプライでもいいんですけど、そうしていただければもう十分伝わるので、そういったことで応援していただければいいかなと思います」

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 紛失防止タグの懸念点についてITライターの山口真弘氏は、ガイガーカウンターのようなタグを直接検出できるアプリ等があれば便利とする一方で、「現時点では『差し入れ禁止』が最も確実で、(今回は)判断として妥当」だとの見方を示した。

 では、もし自宅で見知らぬタグを見つけた場合はどうすればいいのか。山口氏は、この時点で自宅の位置情報は犯人に届いており、タグの電池を抜いたり破壊したりしても位置情報は残ってしまうので避けたほうがいいと指摘。さらに、住宅の場所をごまかすために人通りが多い場所に移動しても、位置情報をリアルタイムで監視されていた場合にはばれる恐れがあるという。それらを踏まえ、住宅街へ行き、自宅にいそうな時間帯を点々とすれば見分けにくくなるとしたが「やはり現実的には難しい」とした。

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 元SKE48でフリーアナウンサーの柴田阿弥は、自身の経験から「以前の事務所だと、ぬいぐるみとかはしっかり潰したり水に浸けたりしていた。今の事務所は完全に(差し入れ)禁止になったんですけど、意外と電車でポンッと入れられたりする方が危ないと思うので、『私は関係ない』と思わずに気をつけていただきたい。あとは入れられないようカバンの中などをよく見るしかないのでは」と述べた。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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