性的同意年齢めぐる議論に柴田阿弥「“性的保護年齢”と呼ぶべきだ。“真摯な恋愛”というのなら、性行為を伴わない交際をするのが大人の責任だ」
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 法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」が先月、性犯罪の処罰のあり方についての報告書をまとめた。その中で注目を集めているのが「性的同意年齢」、つまり自らの判断の上で性行為を行えるようになる年齢をどう考えるのか、という問題だ。現行の刑法ではこれを13歳以上に定めているが、報告書では被害を防ぐ観点から、引き上げを検討する必要があるとしている。

・【映像】性的同意の年齢引き上げ…真摯な交際とは?

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 一方、同様に引き上げの議論をしていた立憲民主党の本多平直衆院議員が「50歳近くの自分が同意の上で14歳の子と性交して捕まるのはおかしい」と発言。非難を浴びて撤回、謝罪に追い込まれたことが話題を呼んだ。

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 検討会の委員を務め、16歳に引き上げることを主張している上谷さくら弁護士は、『ABEMA Prime』の中で次のように説明した。

 「日本の刑法は明治時代にできて以降、ずっと変わっていない。2017年には性犯罪について改正があったが、それも110年ぶりのことだった。海外の場合、時代に合わせて柔軟に法律が変わるので、性的同意年齢についても引き上げられていっている。

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 やはり年齢が低ければ低いほど性的な搾取に遭いやすく、自分の身を守ることが困難だ。急にそういうことをされ、何をされているかも分からずに固まってしまったり、加害者が怖い雰囲気を出していなかったとしても言いなりになって応じてしまったり、といったことはよく起こる。その結果として、“暴行・脅迫は一切無かった”、“被害者が同意していると勘違いしていた”といった弁解が通ってしまい、事件にならないケースがたくさん生じている。

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 加えて、性的知識が乏しいということもあり、望まない妊娠・出産や中絶といったリスクを負うということをあまり考えずに行為に至ってしまう場合もあるし、そのようなリスクは女の子たちが一方的に負うことになるので、やはり法律で守る必要があるだろうということだ。

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 一方で、もちろん未成年者同士の恋愛もあるし、本多議員の言うような、年齢差のある真摯な恋愛というものもあるだろう。加えて、子どもにも性行為をする自由、13歳でも真に同意する能力があるという意見もあるので、どこまで処罰していいのかという疑問も出てくる。

 そこをどう線引きするかと考えた時に、せめて義務教育の間は守られるべきではないかと考え、私は16歳という提案をした。ただし刑法では性的同意年齢を下回る年齢の人に何かをすれば、同意の有無を問わずに直ちに犯罪になるので、併せて16歳未満同士の性的行為については免責条項を設け、一律に処罰はしないという法律の立て付けにする。

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 実際、東京都の条例も、“大人による未成年への搾取”を想定し、18歳未満の子に手を出したら違反だとなっているが、真摯な恋愛に基づくもの、結婚を前提としたものについては除外されているので、例えば高校生の男女がラブホテルから出てきたところに警察が出くわしても、“あれはカップルだろう”ということで放置している。

 また、そもそも性的同意年齢という言い方自体、法律用語ではないし、おかしい。まず保護されるべき年齢層を定めて、そこに手をつけたらアウトだという法律にするのが一番明確でいいのではないかと思っているので、その意味では、“性的保護年齢”と言い換えるべきだと検討会でも提案した。

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 “そうは言っても、一旦は犯罪が成立する形となるが処罰はしない”という立て付け自体が良くない、あるいは“16~18歳は13歳とは違うので、そこは別途法律の手当てをすべきじゃないか”といった意見も出たので、今後はそこが検討材料になっていくと思う。

 さらに上谷弁護士は「日本の性教育は非常に貧困だ」とも指摘する。

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 「被害に遭って相談に来る13歳や14歳の子たちがいるが、例えば“下着の中に手を突っ込まれた”と言って泣いている子に“何が心配?”と尋ねると、“妊娠したんじゃないか”と答えたケースもある。その程度の知識しかない子たちに、同意する能力があると国が決めてしまうのは非常に乱暴だ。

 他国では日常的に性の問題がディスカッションされていると聞くが、日本の場合、“誰が一番早く初体験を済ませたか”など、下ネタ的に落とされてしまう雰囲気があると思う。家庭内でも、親とはそんな話はできないというのが一般だろう。ニュースを見ながら、そういう議論ができるような雰囲気作りも必要だと思う。

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 そんな中で、本多議員はずいぶんとストレートな発言をされたなと思うし、こういう発想の方が一定数いることも間違いない。しかしママでは“気持ち悪い”みたいな感じでスルーされてきた。どうしてこういう発言をする人がいて、それはなぜおかしいのか、しっかり向き合って議論する場が無かった。

 政治家にも、こうした問題に非常に熱心な方々と、そうでない方々がいらっしゃる。本多議員の発言に傷ついた方もたくさんいらっしゃるとは思うが、これを一つの機会にして、国民が考えるようになってほしい」。

 スタジオからも、様々な意見が出た。

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 山梨県出身のBlackDiamondリーダーのあおちゃんぺは「私の地元では高校生が制服で歩いているだけでも注意されることがあったので、東京は進んでいるんだなという“地域差”もあるんだと思う。また、今まで100年間も13歳だったということにも驚いた。小学校を卒業したばかりの子が性行為OKになっていたなんて信じられないし、本多議員の発言も、単純にめっちゃ気持ち悪いと思った。“捕まるのがおかしい”という発想がおかしいし、仮に法律でOKだったとしても、14歳と50歳で恋愛が成立するのだろうか」とコメント。

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 実業家のハヤカワ五味氏は「日本の性教育では、“性的接触”までしか触れられず、性交については言及できない。だからどうして妊娠するかもわからないし、何をもって犯罪となるかもわからないので、“なんか不愉快だったけど、お母さんに言った方がいいのか”というその判断もつかない。もし13歳のままにするのであれば、性教育もセットで充実させるべきだ」と指摘。

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 さらにフリーアナウンサーの柴田阿弥は「私たちは小さい頃から盗むな、殴るな、殺すなと教えられて育つが、それでも14歳に満たない子どもは責任無能力者だ。一方で、性教育で妊娠に至る過程を教えてはいけないのに、なぜか同意のための判断能力があると考えられているのが不思議で仕方がない。

 たとえ年齢差のある真摯な恋愛が存在したとしても、妊娠の可能性や不安を、大人が10代前半の女の子に背負わせていいのだろうか。真摯な恋愛だから性行為もありだというのは、大人の都合でしかない。本当に真摯な恋愛であるならば、少なくとも相手が義務教育、あるいは10代のうちは性行為を伴わない交際をする、子どもの側からアプローチがあったとしても断るというのが大人の責任ではないのか。

 そもそも性的同意年齢って、悪い大人から子どもを守るためのものであって、“この年齢に達すればOKだろう”という線引きに使うような大人を守るためのものではないはずだ。“性的保護年齢”という呼び方に変えてしまえば、困るのは“同意があった”などと建前を言うような、性的搾取を行う大人だけになるのではないか」と訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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