“デルタ株”がさらに変異…既存のワクチンは役に立つ? 専門家「明らかに伝播性が上がっている」
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 東京都で新型コロナの感染者数の増加傾向が顕著になる中、従来型より感染力が強いといわれる「デルタ株」に注目が集まっている。厚生労働省は、デルタ株の感染について、先月21日までに国内で37例を確認。しかし、脅威はこれだけではない。

【映像】スパコン『富岳』が出したデルタ株の“感染リスク”まとめ(9分ごろ~)

 厚生労働省は、札幌市で確認されたデルタ株について「デルタ株がさらに変異した『デルタ・プラス』の可能性がある」と発表。さらに調べを進めている。

 デルタ・プラスとは一体どのようなウイルスなのか。ニュース番組『ABEMA Prime』では専門家と共に考えた。

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 イギリスの公共放送「BBC」によると、デルタ・プラスは世界10カ国で確認されているが、アメリカ国立研究機関博士課程研究員の峰宗太郎氏は「現状、情報はそれほど多くない」と語る。

「デルタ・プラスは、基本的にデルタ株と言われている『B1617-2』というインドを中心に広がった変異ウイルスに、さらにもう1カ所『K417N』というスパイクタンパク質の変異が入ったもの。デルタ・プラスで特別に分かっている情報は少ない」

 変異型にさらにもう一段階変異が入ったデルタ・プラス。日本でもワクチン接種が広まりつつあるが、ファイザー社やモデルナ社といったmRNA系のワクチンは、役に立つのだろうか。

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「1カ所変わっただけで、ワクチンが全く効かなくなることはない。どれくらいまで変異をすればワクチンが効かなくなるか、それが程度問題としてある。どれくらい大きな変異が入ってしまったかが重要。今のところワクチンはまだ効くだろうといった見方が妥当だ」

 驚異のスピードで変異を重ねていく新型コロナウイルス。もし、既存のワクチンが効かなくなった場合、また半年から1年程度かけてワクチンを作り直すことになるのだろうか。これについて、峰氏は「私はそこまで心配していない」と答える。

「理由の1つは変異はすごくたくさん起こるが、変異が起こっているスパイクタンパク質は細胞にくっつく。重要な鍵と鍵穴の関係だ。鍵が変わりすぎてしまうと、鍵穴にはまらなくなる。変異にも限界があり、変異しすぎるとウイルスは細胞に感染できなくなり、自滅する。また、mRNA系のワクチンは改良が非常に容易だ。作り直すことになっても半年、1年はかからないだろう。承認の過程もかなり簡略化されているため、1カ月もあれば新しいワクチンを市場に出せる。流行状況を見ながら、それほど恐れず対応できると思う」

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 デルタ株の感染は、すでに日本で全体の約3割を占めているとする分析もある。今月中には5割を超えるという予測もある中、デルタ株の感染力について峰氏は「明らかに既存株より伝播性が上がっている」と話す。

「人から人への感染しやすさは、明らかにアルファ株やデルタ株で上がっている。イギリスで広がったアルファ株が日本でも優勢になったが、デルタ株はアルファ株よりも高い伝播性を持っている。伝播性が上昇しているメカニズムはまだ解明されていないが、感染の機会さえあれば広がりやすく、今後優位になっていくことはほぼ間違いない」

■「今まで幸運にも感染しなかった人が…」都内では10代感染が増加傾向に

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 さらに、都内では10代の新規感染者数が1週間で1.7倍に増加。若い世代でデルタ株の感染拡大が懸念されている。峰氏は「年齢によってどれくらい伝播性が変わるかは明確になっていない」とした上で「今まで幸運にも新型コロナに感染しなかった人が、デルタ株に感染するといった状況も起こる」と説明する。

「伝播性の上昇は、ウイルスの排出量と関係している可能性がかなり高い。対策が緩い人には『もう少ししっかりやろうよ』と言いたい。十分対策できている人は、今まで通り続けてほしい。3密と言われる状態を防いで、飛沫の広がりを抑える原則は変わらない。もう一つはワクチンの接種率を上げる。ワクチンを接種すれば、デルタ株とデルタ・プラスどちらでも重症化のリスクは減らせる。これらを重ねて感染の流行を抑えていく。今までの対策の強化が求められている」

 感染力が高いデルタ株がさらに変異したデルタ・プラス、さらには12番目の変異型であるラムダ株も発見されている。人類とウイルスの戦いが長引く中、予断を許さない状況が続きそうだ。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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