「友達とお菓子とコーヒーだけで、お酒は飲んでいないのに…」と話す感染者も 薄れる“緊急事態宣言”の意味と緊張感
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 「“自粛疲れ”が出る中、政府としてどう国民の理解を求め実効性を求めていくか」。12日の記者会見で、緊急事態宣言の目的や効果について尋ねられた加藤官房長官は「今回の(緊急事態)宣言はワクチン接種が進み、効果が現れるまで全国的な感染爆発を未然に防ぐための万全の措置であるということも含めて国民の皆さんのご協力ご理解いただきたい」と述べた。

・【映像】4度目の緊急事態宣言 宣言慣れや宣言に対する疑問も...妥当性はあるのか

「友達とお菓子とコーヒーだけで、お酒は飲んでいないのに…」と話す感染者も 薄れる“緊急事態宣言”の意味と緊張感
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 自治体にもアドバイスをしている感染症対策コンサルタントで看護師の堀成美氏は「ワクチン接種で高齢者を優先したのは、発症した場合の死亡、重症化リスクが高いから。また、それに伴って病院が逼迫するからという事情があった。さらに言えば、活動制限によって家に引きこもることで筋力が低下したり、他の人と交流できないことで社会的なことでの繋がりが失われたりしていた、という事情もある。その結果、高齢者施設などでのクラスター発生数が減ってきていて、面会の条件を変える病院や施設も出てきている。私が働いている港区の保健所でも“クラスターだから助けてください”とか“今日はこんなに高齢者がいた”というような話題が減り、保育所や小学校、中学校の話題や、そこでの検査をどうしようか、という議論が中心になってきている」と話す。

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 一方、中高年の入院患者数・重症者数が目立つようになってきており、東京都の小池知事も「50代問題」として対策に注力し始めている。

 「まだワクチンを打てていない世代であることと、若い世代の感染者は無症状・軽症の方が多く入院もしないので、50代が目立ってくるのは当然だ」とした上で、東京都の事情について「高齢の感染者は病院へ入院するかホテルで宿泊療養することになっているが、重症者病床の使用率が15%で比較的安定している一方、ホテルの利用率は58%まで上がってきている。都では年齢ではなく、基礎疾患の有無に加えてBMI(身長と体重を元にした“肥満度”)が26を超えた方をホテルに案内しているが、都が立派なホテルをいくつも押さえていることもあり、“自宅でもいいが、ご飯も出てくるし”ということで、宿泊療養を希望する人が増えてきているという事情もある。関係者の方にも言っていることだが、ホテルの回転を良くしないと足らなくなってしまうかもしれないし、“ホテルがいっぱいだから病院に入れてください”という事態になってしまうのは違う」と説明した。

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 こうした状況であることを踏まえ、今回の緊急事態宣言については「どんな効果があるのか、よく分からない」と指摘する。

 「年齢が若い方の感染者数も増えているが、検査したらそこそこ見つかるんだと思う。逆に言えば、一生懸命に検査しないと、ほどほどの数字になるのではないか。また、アルコールの制限についても、一人で飲む場合にまで時間制限をかける必要はないと思う。確かにお酒を飲んでいる人たちは声が大きくなったり、感染対策が緩くなったりするのでリスクは高くなるだろう。ただ、保健所で見ていると、“友達とお菓子とコーヒーだけで、お酒は飲んでいない”という反応が返ってくることもある。結局はマスクを外して近くで向かい合っておしゃべりしていた、ということなので、情報が上手く伝わっていない部分も大きいと思う。

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 「やはり皆さんが協力したいと思わないと、こういうことは上手くいかない。“これしか無いから、しょうがないよね、でも緊急じゃないっぽいね”とか、“もう緊急事態宣言という名前を変えたほうが良い”というような意見は高校生からも聞こえてくる。そして感じるのは、自治体や団体の方々が宴会や会食をしていたというニュースが流れるようになった頃から、皆さんの質問の仕方が変わってきたということ。“本当はどれくらいやればいいのか”、という質問のほか、“やっているのはポーズで、誰かが得をしているのではないか”といった、陰謀論に近い質問まで出てくる。真面目にやっている人ほどそういう傾向もあるので、それが私は怖い。ローカルルールが出てくるとコントロールが難しくなるので、“8月、9月、10月で日本はこういう感じになる。だからこれについてここまで協力してください”とロードマップを見せながら説明した方がいい」。

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 ジャーナリストの堀潤氏は「まん延防止等重点措置だろうと緊急事態宣言だろうと、個々人の行動追跡と感染対策が紐づけられていない現状では根本的に感染拡大を抑えられないだろう。その意味でも、デジタル対応の遅れが目立つ」と指摘する。

 「政府の会議を取り仕切っているコンサルティング会社の方によると、全国の自治体から入院患者数、重症者数、死者数などの情報を上げてもらってデータベースを作ろうとしたが、様々な理由でデータが集まらなかった。そこでローカル紙から情報を拾い集めることを試みたが、やっぱり追いつかなくてやめてしまった。あるいは1億円規模の予算を組んで、誰もが知る大手企業にシステムを発注したところ、クリックして結果が表示されるまで3秒もかかるという、ストレスフルなものが出来上がってきたので、突き返したという。EU各国ではワクチンの接種情報と普段のヘルスデータをつなげたり、航空会社とのアライアンスを始めたりしているのに、あれだけITを活用して改革を、と言っていた日本の行政は、なぜここまで後手に回るのか。結果として大括りの対応がなされることになっているし、世界は先々のことを議論しているのに日本は周回遅れだ」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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