籠池夫妻が初公判、”森友報道”でNHKを退職した相澤冬樹記者が改めて指摘する「安倍政権・マスコミの問題点」
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 「すごいね、瑞穂の国記念小學院。"凜と咲け 弥生3月 夫婦花"」。

 6日朝、建設が止まったままの「瑞穂の國記念小學院」(大阪府豊中市)を前に、初公判に臨む心境を得意の俳句に詠み込んだ森友学園の前理事長・籠池泰典被告。同校の建設工事などをめぐって、妻の諄子被告とともに国や大阪府などから合わせて1億7000万円あまりの補助金をだまし取った罪に問われている。

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 検察側の「被告は小学校の建設費用が高額になればなるほど補助金が高くなると知り、虚偽の契約書を建設会社に作成させた」との主張に対し、籠池被告は「私の希望よりも大きな建設費用を記載した契約書の作成に応じたのは事実だが、補助金の予算を最大限に確保するための、いわば方便であるとの設計関係者の説明を信じていた。私が主導し、妻と共謀して補助金をだまし取ったという検察の主張は事実に反する」などと述べ、起訴内容の大半について無罪を主張。

 また、籠池被告側が訴えているのが、「国策捜査は絶対に許せない」「本質的な国有地等忖度の問題から目をそらし、目くらまししていることを裁判所もしっかりと見てもらいたい」「300日間も国策勾留したことは口封じ」といった点だ。

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 籠池夫妻は2014年4月、学校建設予定地で昭恵夫人と記念撮影。翌2015年9月には昭恵夫人が開校予定だった小学校の名誉校長に就任している。こうしたことが一連の疑惑に影響したとの見方がある。しかし安倍総理大臣は国会で「私が、妻が関係していたということになれば、これはまさにこれはもう私は間違いなく、総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」と関与を否定。財務省の「決裁文書改ざんに関する調査報告書」でも、昭恵夫人の関与に関して、「総理夫人本人からの照会はなかった」「総理夫人付からの照会はあったが、内容は特段問題となるものではなかった」と結論付けている。

 ただ、取引を巡る財務省の決裁文書には改ざんも発覚。当時、財務省理財局長を努めていた佐川宣寿氏が「近畿財務局と森友学園の交渉記録というのはなかった」と国会で述べるも、それとは食い違う事態が出現。改ざんされた文書では、貸付契約の経緯や、安倍総理夫人の昭恵さんが「いい土地だから進めてください」と発言した部分などが削除されていた。

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 小学校設立認可や国有地の8億円値引きの背景に総理夫妻の影響があったのか否か。近畿財務局の判断に「忖度」があったのか否か。籠池夫妻の起訴事実とは別に、こうした点についてはクリアにならないままだ。

■「合理的に説明しないことこそが安倍政権の問題」

 NHK時代に森友学園問題に切り込んだことがきっかけで異動となり退職、大阪日日新聞の記者となった現在も、この問題を追っている相澤冬樹記者は、「籠池氏の話によると、それまで土地交渉について極めて後ろ向きだった近畿財務局が、撮影した写真を持って行き、"いい土地だから進めてください"と言ったと話したら、"上司に見せないといけないから"と、写真のコピーをとったそうだ。それ以降、財務局の対応が変わり、ものすごく話が進みやすくなったとそうだ。昭恵夫人も後押ししているということを最大限利用していたということだと思う。昭恵夫人が関与したとは言わないが、明らかに影響があったと言えると思う」と話す。

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 その上で相澤氏は「僕が言いたいのは、8億円の値引きについて、合理的な説明がされていない。その真相が解明できてないのがこの問題の全て」と語る。

 「財務省はひたすら"問題なかった"と言っているが、会計検査院だって"適正な根拠が足りない"と言っている。ゴミの撤去費用の名目で値引きしているわけだが、本当にそれだけのゴミがあったのか。その根拠とされた写真も使い回しということがわかっている。もっと言うと、ゴミを撤去しなくても校舎は建った。つまり、小学校を建てるためにゴミを撤去しなければいけないから値引きするという理屈自体が成り立たたない。実はあの近辺で、国有地を買った後にゴミがあるとわかり、買主が撤去費用を国に求めたケースがある。国に"自分たちで撤去して、費用の根拠を示してくれ"と言われたので請求すると、"これは無駄な控除だからこの分は払えない"と減額されて提示されたと。ある意味、国の方はそれくらい厳密にやってきた。それなのに、なぜこれだけが"どんぶり勘定"のようになっているのか。"訴訟リスクを回避するため"という説明についても、理屈が通らない。2年前の国会答弁を思い出してほしい。なぜ佐川氏にあれだけ注目したのか。それは言っていることがむちゃくちゃだと思ったからだろう。閣僚も同じように問題ないと言い続けた。なぜ財務省がそんなずさんなことをやったのか。堅すぎるくらい堅い仕事をしている近畿財務局の人たちが、なぜこの時だけ8億円もの値引きをするのか。その根拠を示す公文書を改ざんするという、めちゃくちゃなことをどうしてしたのか」。

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 そして相澤氏は「デタラメを言った財務省を指揮命令するのは財務大臣であり、内閣総理大臣。国のやることの最終的な責任者は内閣総理大臣だ。8億円も値引きしたのはなぜか、それが起きたのはなぜかと、ちゃんと合理的に説明しないこと、説明していないのにしていると言い張ること、問題ないと言い張ることこそが問題だ。みんなそこをごっちゃにしちゃって、値引きに直接、安倍総理が責任あるかないかという論の立て方をするから、いつまでたっても堂々巡りになる」と指摘。さらに「もともと検察も国有地の不当な値引きについての捜査をしていたが、途中から籠池氏の補助金詐欺の方に明らかにシフトしていった。何がきっかけでそうなったかと言えば、大阪府が森友学園の補助金はおかしいと言い出したから。だけど大阪府は監査に毎年入っていて、森友学園への補助金をずっと見たはずだ。問題があるんだったら、とっくに気がついてなきゃいけないのに、森友学園の問題が国会で大きな問題になった時に突然言い出した。そして東京の検察幹部が籠池氏の逮捕を急がせたという事実もある」との見方を示した。

■「朝日新聞は社運をかけて勝負していると感じた」

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 一方、上武大学ビジネス情報学部教授の田中秀臣氏は「昭恵夫人が自分で介入したわけではなく、籠池氏が利用しただけなのを窓口の人が忖度したかもしれない」とした上で、「近畿財務局がなぜ入札方式ではなく、マンツーマンの交渉に持っていったのか。確かに相対取引というのは珍しくはないが、一般的には入札の方がわかりやすい。なぜこんなに稚拙だったのか。その動機が知りたい。一つ言えるのは、近畿財務局がこの取引にすごく自信満々だったこと。籠池氏を舐めてかかっていたというのがあるかなと思う。また、佐川氏の答弁や、その後の近畿財務局と理財局を巻き込んだ文書改ざん問題。あれを見ただけでも、やはり財務省が末端に至るまできちんと仕事していなかったということがわかる。相澤氏が指摘する、合理的な説明がされていない理由の一つは、財務省の仕事がずさんだったからだと思う。文書改ざんは、籠池氏の問題とは関係ない、明らかに稚拙なやり方。なぜそんなことやったのか。麻生氏のその後の処分も全くダメだ。僕ははっきりいって財務省を全く信じてない」と批判した。

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 そんな田中氏は、「僕も俳句を詠む。『森友や 安倍が安倍がって 飽きました』って感じ」と、マスコミ報道の問題点を指摘する。

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 「安倍総理が国会で"自分と夫人が関わったら辞める"と言ったことに野党、マスコミが食いついて問題が大きくなってしまった。あの発言には前段階があって、"土地取引とか土地の値下げに関与していたら辞める"ということだったのが単純化され、森友学園や籠池氏にちょっとでも関わっているのが問題、という感じで2年間も引っ張ってきた。籠池氏は一流のエンターテイナーだし、国策捜査と聞くと朝日新聞なんかがすぐ飛びついちゃう。ネット記事の見出しも"口封じ"とか"国策捜査だ"と。これは一種の印象操作、印象報道だ。今回の裁判も、補助金の詐欺があったのかどうかが論点なのに、なぜか裁判の本筋とは関係ない"国策捜査"という籠池氏の発言を見出しに持ってくる。そこから"疑惑のインフレーション"が発生しやすくなる。こういったことが繰り返されてきたのが森友学園問題だ。もし本当に安倍総理と夫人の関与があるというのなら、具体的なエビデンスを出さない限り、国民は疑惑を持ったまま、マスコミの報道とかに振り回されていくと思う」(田中氏)

 この点について相澤氏は「朝日新聞を除き、森友事件で新聞各社はでたらめ記事を連発した」と話す。

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 「私は本の中でも各社が森本問題をどう報道したかを具体的に書いているが、事実ではない報道がかなり見受けられた。きちんと取材していないということだ。典型的だったのは、まさに裁判になった籠池夫妻が"罪を認める方針"という記事が出たこともある。しかも次の日に別の新聞がこれを追いかけて報道した。さすがに放っておけないと思い、NHKでは否定する方針だと報じた。一方で、朝日新聞について言えば事実ばかりだった。朝日新聞は社運をかけて勝負してきていると感じていた。これに対し、読売新聞、産経新聞などはしばらく記事を書かなかった。これこそ"こんなものなかったことにしよう"という印象操作だ」(相澤氏)。

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 議論を受け、8bitNews主宰の堀潤氏は「核心を知る人物の発言が出揃ったのかと言われば、例えば昭恵夫人が自身で語るということはなかった。疑惑がないのであれば語ればいい。僕は2017年、昭恵夫人にインタビューしたが、彼女自身は"私は籠池ご夫妻と何度もお会いしているし、名誉校長を引き受けたのも事実だが、それ以上のことは全くないので、何が起こっているのか本当に戸惑っている"と話していた。さらに土地についての認識を尋ねると、昭恵夫人は"そもそもあの土地ってどんな土地だったのか?あんなにゴミがあるということはゴミ処理場だったのか、不法投棄されていたのか。そんな土地を普通は買いたくない。一方、私が私人か公人か、秘書が何人いるかなど、総理夫人の立場がどういうものかを考えられてなかったので、そこも考えていかなくてはいけないと思っている。私も真実が知りたい"と話していた。こういう話が公の場に出て話されるべきだったと強く思う」「安倍総理があの答弁に立つ1週間ほど前、与党の副大臣クラスの方に"最大のリスクは安倍総理。党内で心配しているのが、安倍総理はとにかく昭恵夫人のことになると並々ならぬ想いが籠もるから、国会の答弁がどうなるか"と言っていた」と明かし、「文書の問題だったり、財務省の動きについて、まだまだブラックボックスがあると思うし、どんなメカニズムであってはならないようなことが行われたのかについて知りたい」と訴えた。(AbamaTV/『AbemaPrime』よる)


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