高IQ、ギフテッド…既存の学校に馴染めない子どもたちに必要な”居場所づくり”
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 「小学3年生の途中から、担任の先生から無視され続けていた。"できる人は黙ってなさい!"と叱られた」。

 高いIQ(知能指数)を持つ人だけが加入できる団体「MENSA」会員で、『現代ビジネス』に寄稿した幼少期の悩みを綴った手記が話題を呼んだMIOさん。台湾と日本のハーフで、5歳の時に来日。両親によると、2か月足らずで日本語を覚えてしまったという。小学校の時に測定したIQは130~145くらいだったという。

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 さらにMIOさんの場合、映画のシーンや人の誕生日を暗記することも得意だという。「何の役にも立たないが。覚えてしまう。数字が"入る"感じだ。映画も、何でもない風景のシーンも焼き付いてしまう。逆に完璧主義なので、もっと覚えなければと自分を追い詰めすぎてしまって苦しくなることもある」。

 それくらい物覚えが良かったMIOさんにとって、小学校の授業はあまりにも簡単なものだった。「授業に積極的に参加すると"黙ってなさい""あっち行ってなさい"というふうになって。成績が良くても、先生に嫌がられるようになってきて。先生に対して悪口を言うことはなかったが、納得のいかないことはすごく質問していた。ハキハキ、サバサバした人気のある先生で、最初はかわいがってくれていたが、途中から相手をしてくれなくなった。"分かる人?"と聞かれて、手をあげてもいつも無視だった。目も合わせてくれない。子供ながら、頑張っているのに嫌われるのが悲しかった。成績のいい自分よりも成績の悪い自分の方を大人は好きなんだと不思議に思った。論理的思考は成長していても、心は子どもだったので、すごく悲しかった。友達からも無視されたりはしていた。私もその子たちのやっていることがまどろっこしいと思うことがあったが、平均的な子のマネをすることで人間関係がうまくいくということが分かった。本心というよりは、この子には、このくらいのことを言うとちょうどいいんだなと。両親や周りからも、"普通にしたら""出る杭は打たれるから目立たないようにしたら"というアドバイスされた」。

■アメリカでは特別な学校に

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 幼稚園の時に測定したIQは上位2%に位置する「推定130以上」だったリョウ君(仮名、小4)は、父親の仕事の関係でアメリカで生まれ、今年3月まで暮らしていた。父親は「100問の足し算、100問の引き算、100問の掛け算、100問の割り算を正解じゃないと次に進めないという課題を、小学1年生の半ばくらいでやれていた」と振り返る。

 そのため、現地では生まれつき高い知能指数を持つなど、突出した才能を持つ子どもたちのための「ギフテッド教育」を行う学校に通っていたという。Facebookを立ち上げたマーク・ザッカーバーグ氏や歌手のレディー・ガガも受けていた教育法だ。

 しかし帰国後は、クラスの皆と同じスピード、同じ内容という日本の授業を受けている。そのギャップに、本人よりも家族の心配は尽きない。父親は「おそらく彼のそういうところと日本の教育システムの齟齬が出てくると思う。親としてはバランスを取りながら先生と連絡を取っていくしかない」と話す。すでに、習い事先からはクレームを受けてしまったという。「うるさくてたまらん、という捉え方をされて、"うーん"と…」。

■周囲と溝を作ってしまう子も

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 ある地方公立小学校の教員は「日本はクラス編成が能力別ではないので、教師としてはクラスの平均レベルに標準を合わせた授業をするしかない。高学力の子にとっては意味のない時間を過ごすことになる。エネルギーがある子は反発するだろうし、エネルギーがない子は無気力になる」と話す。

 また、小児科医の宮尾益知どんぐり発達クリニック院長によると、「高い知能指数(IQ125~130以上)」「特定の学問や分野における高い能力」「知的好奇心、豊かな想像力、リーダーシップが必要」という特徴を持つ「ギフテッド」の子どもの中には「小学1年生の足し算をやっているところで、高校の数学の本を開きたくなる。馬鹿馬鹿しくて。そういうことが認められないということになってしまうともう我慢できない子もいる」という。そのため、日本の学校にみられるうような集団行動を拒絶し、周囲と溝を作ってしまうケースもあるという。

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 ギフテッドを含め、学校に息苦しさを感じる子どもたちが集まるフリースクール「DE-SCHOOL」(東京・新宿)では、テクノロジーを活用。パソコンやタブレットを用いて個々の可能性が発揮できるよう取り組んでいる。代表の藤井準人氏は「フリースクールには居場所という意味合いが強い。また、教師が、机が並んでいる一方向の伝統的な授業ではない形を全てひっくるめてオルタナティブスクールと呼んでいる。DE-SCHOOLはその2つの要素を持っているが、社会的な呼び方でいうと、いわゆる居場所だ」と説明する。

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 教室には、入所した1日目の男の子がパソコン上で設計、3Dプリンタで出力した模型もあった。「日本軍のことが好きな小学5年生がいて、マインクラフトというソフトで軍艦を作り上げて、"これは不知火で…"などと話したりする。すごく面白い。また、魚に関してはいくらでも話すことができるお子さんもいる。興味のないと座っているのもなかなか難しい子もいるが、本人たちの好きなことを突き詰めていくことで得られる力があると思うので、それを中心に広げていく。僕たちは講師を"サポーター"と呼んでいて、ハマらなければそれでいいし、"こういうのも面白いからやってみる?"と"緩やかな提案"をしている」(藤井氏)。

 MIOさんは「子どもの頃、とにかく普通にならなければと辛かった私にも、そういう居場所があれば本当に良かったと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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AbemaPrime【平日よる9時~生放送】 - 企画 - IQが高すぎて教師から無視!? 人口の2%しかいない”ギフテッド”である彼らにとって日本教育は合わない? | 動画視聴は【Abemaビデオ(AbemaTV)】
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